ブラジルとウルグアイがグループリーグで姿を消し、準々決勝ではメキシコがチリに0-7で大敗と波乱続きのコパ・アメリカ。
 
 
ブラジルはグループリーグ最終戦でペルーと対戦した。
引き分けでもベスト8に勝ち上がれる状況だったが、0-1で敗れてしまった。
ペルーのルイディアスによる決勝ゴールは、明らかなハンド。
腹の高さに来た右からのクロスを、ウエスタンラリアートのように腕を使って押し込んだ。
クロスを上げた位置は、ゴールラインとゴールエリアのラインが交わるあたり。
ルイディアスが合わせた位置は、ゴール至近距離。審判団にとっては不運だった。
 
 
クロスが左からであれば、左後方から見ている主審がハンドに気づく。
しかしクロスが右からだったので、ルイディアスの身体がブラインドになってしまった。
副審も、クロスを上げた選手とブラジルDFによって視界を遮られている。
スリを取り締まる刑事と同じで、サッカーの審判も現行犯を目撃しなければ罰を下せない。
ハッキリと反則を視認しなければ、笛が吹けないのだ。
 
 
世間ではこのようなケースを「ミスジャッジ」と呼ぶが、実はそうではない。
コンメボルの審判委員会も、審判に非はない、としている。
たびたび起こるこうした問題を解決するには、ビデオ判定しかない。
しかし、こういうことがあるからサッカーは面白いともいえる。
 
 
いくら不正なゴールだったとはいえ、ブラジルが得点を挙げていれば敗退はなかったのだから、当然ドゥンガは責任を問われて解任。
彼は五輪監督兼任なので、急ぎ後任を決めなければならなくなった。
選手リストの提出が目前だったからだ。
そして、U-20代表監督のマカリが昇格という形で就任した。
五輪代表には彼の教え子が多いものの、ユース畑一筋のため貫禄不足。
以前のペケルマンのような存在だ。
問題は、ネイマールとよい関係が築けるかどうか。
ネイマールが彼を見下すようなことになると、悲願の五輪制覇はまたも失敗に終わるだろう。
 
 
今回のコロンビア代表に、カルドーナという攻撃的MFがいる。
2年前、W杯の敵情視察でコロンビアに行ったとき、「こいつ、いいな」と思った選手だ。
当時はアトレティコ・ナシオナルの所属で、巧みなテクニックと精度の高いミドルシュートでチームを引っ張っていた。
21歳だったが、腹がポコッと出ているようなコミカルな体型。
180センチを超えるので、コロンビア人のテクニシャンとしては大柄といえる。
ホルヘ好みの選手ではあるが、プレーのクセが強い。
間違ってもJリーグにはフィットしないタイプだ。
しかしペケルマンは気に入ったようで、レギュラーとして活躍している。
 
 
同じくコロンビア代表に、FWのモレーノが復帰した。
2004年のコパ・アメリカを制したのは、コロンビアのオンセ・カルダス。
彼は、当時そこでデビューしたての若き選手だった。
ホルヘは「トヨタカップ・プレビュー」の取材で、オンセ・カルダスへ乗り込んだ。
地方の小さなクラブのため非常にアットホームで、練習場へのバスに同乗させてくれたり、選手たちと一緒に食事も食べさせてくれた。
 
 
ある試合で、モレーノは相手選手の激しいタックルを受けて負傷退場。
その際、派手に泣いていたので、よほどの重症だと思った。
ところが試合後に合うと、普通に歩いている。
心配して損した。「泣き虫」といってからかってやった。
そんな思い出のある選手が、再び代表で頑張っているのは嬉しいものだ。

写真は2年前のカルドーナです。


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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