Pura Vida!

平日のお昼に時々行く、中華料理のお店があるんです。
 
 
 
そこは、

料理が美味しいのはもちろん ( 特に、蒸し鶏! ) 、

ご飯お代わり自由、充実したサラダバーあり、

と、いつまでたってもハングリーなボクのお腹を満たしてくれる、

ありがたいお店なのであります。
 
 
 
ここは、20~25人くらいのキャパシティで、

ランチタイムに働いてるのは、

若きオーナーシェフと、ホールのおじさん、の二人。
 
 
 
この前、行ったときは、

調理場が全部見えるカウンター席だったんですが、

サッカー本の言葉を追ってた目は、

気づけば、オーナーシェフの動きに移っていました。
 
 
 
とにかく、手際がいいんです。

動きに無駄がなくて、次々に料理を鮮やかに完成させていって。
 
 
 
しかも、それだけじゃなく、

中華鍋を振ってると思ったら、

いつの間にやら、レジにも入る、オーダーも聞く、洗い物もする、

と、ひとりで何役もこなす、素晴らしいとしかいいようがない仕事っぷり。

その動きが美しくて、自然と見入っちゃうんですよね。
 
 
 
かたや、ホールのおじさんはというと、これが非常に残念な感じでありまして。
 
 
 
声が小さくてオーダーが通りにくかったり、

下げものに気づけなくてしばらく放置してあったり、

やることがいくつか重なると誰が見てもわかるくらいの動揺を見せたり。
 
 
 
あまりにも激しい二人の能力差を目の当たりにして、

なんかいろいろと考えていたのですが、あ、と思ったことが。
 
 
 
おじさんは仕事ができないことで効率を悪くしてる。

でも、もしかしたら、若きオーナーシェフの能力を引き出してるのかもなって。
 
 
 
こんなことがあったんです。
 
 
 
シェフが中華鍋をガンガンに振ってるとき、

おじさんはレジに入って、会計をしていました。
 
 
 
すると、シェフが、
 
 
 
 「 あれ、値段違いませんか? 」
 
 
 
と、ひと言。

目は中華鍋に向いたまま、変わらずガンガンに。
 
 
 
そして実際、おじさんは会計を間違えていました。
 
 
 
自分の作業ペースを落とすことなく、

周囲のことを感じれるこのシェフのスゴサを、

あらためて思い知らされた瞬間でした。
 
 
 
もし、おじさんが、

一人でも余裕をもってホールをまわせるくらいの能力があったら、

シェフは余計な心配をすることなく、中華鍋を振れるのかもしれない。
 
 
 
でも、逆に、

耳だけレジに向けて聞き取ろうとする行為はなくなるかもしれないですよね。

任せられるっていう安心感が生まれることで。
 
 
 
もちろん、

おじさんがシェフの能力を引き出そうと思ってはやってないんだろうけど、

結果、引き出すことに繋がってるんだとしたら、それはそれでありだなと。

シェフも苛立つことなく、充実した顔で働いてますし。
 
 
 
で、これって、サッカーも一緒ですよね。
 
 
 
もし自分が、カバーリングを得意とするセンターバックで、

コンビを組む相手が、ヘディングやボール奪取で強さを発揮するタイプであれば、

彼の周辺のスペースに対しての危機感が増して、

自分自身のカバーリングの能力がさらに磨かれていくんだと思うんです。
 
 
 
1998年のフランス代表、” ブラン ” と ” デサイー ” みたいな関係でしょうか。
 
 
 
相手の能力の穴を埋めようとして頑張った結果、

プラスマイナス0、になるんじゃなくて、

自分のもってる能力が引き出されることで、プラスになる。

そして、それが双方向だったら、もう最高。
 
 
 
チーム編成をしていく上で、

そんないい組み合わせを探せていけたら、

もっとオモシロイことになるなぁと思った中華料理屋ランチでした。
 
 
 
おじさん、頑張れー。