たぶん消防法によるのだろうが、アルゼンチンではサッカーの試合に必ず消防士がいる。
 
 

 
 
消防士はスペイン語でBOMBERO(ボンベーロ)。

日本と違い消防の独立した組織はなく、警察に属している。

また、日本の消防団に該当するような、ボランティアの消防組織もある。
 
 
 
ブエノスアイレス市では、ボランティアの消防はボカ地区の1か所だけ。

警察に属する消防は公務員なので、給料も費用も国が払う。

ちなみに、ブエノスアイレス市の警察は国家警察。

それ以外のブエノスアイレス州は、州警察の管轄となっている。
 
 
 
では、ボランティアの消防はどこから金を調達するかというと、

もちろん市からの補助もあるが、一部は募金で賄っている。

交通量の多い交差点に消防服を着た一団が控え、赤信号で止まっている車に近寄り募金を頼む。
 
 
 
しかし、聞いた話ではあるが、彼らは消防士ではなく、

募金を集めるのが仕事の人たちで、集めた金額からコミッションを取っているのだという。

しかも、そのコミッションが1割とか2割なら納得できるが、消防に渡るのが1割か2割だという。

こんな噂があると、寄付する気にもなれなくなる。
 
 
 
 
さてスタジアムに配置された消防士だが、

その任務はいざ火災が起こった場合に対処するだけでなく、南米らしくさまざまなことを行う。
 
 
 
18日に、共にサンタフェを本拠とするコロン対ウニオンのクラシコがあった。

0-2で敗戦濃厚となると、ウニオンのサポーターがゴール裏のスタンドの金網を破壊し始めた。

頑丈な金網も、大人数で引っ張るとバリバリと破れ、鉄柱までもがグニャリと曲がる。

ここから、ピッチ内に乱入しようという目論見だ。
 
 
 
試合は一時中断され、機動隊が出動。しかし騒ぎは収まらず、最後は放水によって鎮圧した。
 
 

 
 
このように、放水でサポーターを抑えるのも仕事の内。

また鎮圧だけでなく、暑い日の昼間の試合では、噴霧状の水をスタンドへ浴びせる冷却サービスも行ってくれる。

さらに試合前にはピッチに散水するなど、ここでは消防士は、サッカーに不可欠な存在なのだ。