日本では食品偽装が問題になっているようだ。
 
先日も、成田空港内のレストランでアルゼンチン産のアカエビを
 
ボタンエビと偽って提供していた、というニュースを読んだ。
 
アルゼンチンのエビは加熱するとパサつくが、生で食べるとトロッとした触感の甘エビ系だ。
 
日本は重要な輸出先で、そのほとんどが回転寿司向けだという。
 
このことは数年前に日本のクイズ番組の問題にもなっていたので、周知の事実だろう。
 
しかし、回転寿司で「アルゼンチンアカエビ」などという表示は見たことがない。
 
当然、甘エビもしくはボタンエビとして売られている。
 
 
 
回転寿司の中にも結構な料金を取る店があるが、多くは1皿100円台の安さを売りにしている。
 
勝負はコスト削減にかかっているのだから、本物に手が届かなければ代用品に頼るしかない。
 
アカエビと甘エビなどは同じ海老類だからいいほうで、
 
切り身の魚になるととんでもないものが代用品になっていたりする。
 
しかしそれでも、本物の味に近いので客も満足するからいいではないか。
 
 
 
今回の偽装表示問題によって規制や取り締まりが強まると、
 
回転寿司も正しい表示をしなければならなくなるかもしれない。
 
しかし「アメリカイタヤガイ」や「ティラピア」と書かれるより、「赤貝」「真鯛」のほうが寿司を食べた気がする。
 
客だってあの値段ですべてが本物とは思っていないのだから、あまり厳格にすることはあるまい。
 
「当店では、一部のネタに代用品を使用しています」という表示を義務付ける程度で済んでもらいたいものだ。
 
 
 
そういえば先日、日系の実業家が、「そろそろアルゼンチンでも回転寿司が流行るのでないか」といっていた。
 
実は約10年前に1軒あったのだが、まったく客が入らなかった。
 
現在は日本食ブームで寿司もポピュラーになったので、そろそろ時機到来と読んで、
 
「あの回転する機械はいくらするのか」とホルヘに訊いてきたのだった。
 
 
 
南米では、ブラジルのサンパウロで回転寿司を食べたことがある。
 
リベルダージという日本人街のレストランの一角に、そのコーナーがあった。
 
食事時ではなかったので寿司コーナーに客はおらず寿司も流れていなかった。
 
ホルヘがカウンターに座ると、職人が慌てて握り、次から次へと寿司を流してくる。
 
回転寿司だから、客が1人だろうと寿司が回っていなければならないと考えているようだ。
 
この方法だとロスが多くて、普通に寿司を提供するよりコストが高くなってしまう。
 
同じ回転寿司なのに、日本は安さを追求し、南米はショー的な付加価値と捉えるという違いがあった。


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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