年をまたいで前回の続き
 
 
 
痛風疑惑の右足痛を抱えてシドニーに到着。ここで3泊する。
 
ビーチに行くなどいろいろと楽しい予定を立てていたが、この足ではどうにもならない。
 
なにしろ右足はカカトしかつけないのだ。
 
室内は禁煙なので、タバコを吸うたびに足をヒョコヒョコ引きずって表まで行く。
 
食事は近くのコンビニで購入。
 
100メートル以上歩くと痛みが増し、休んでもしばらくはジンジンしている。
 
 
 
シドニーには日本人の居住者が多いようで、ホテル近くの日本料理店の前に日本人向けのフリーペーパーがあった。
 
それには日本人医師によるクリニックが紹介されており、場所も近いので行ってみようかと思った。
 
しかしよく調べると、オーストラリアではまず一般医に診てもらい、そこから専門医に紹介されるらしい。
 
日本人医師は一般医のようなので、そこから別のクリニックに回されることになる。
 
専門医は日本語が通じないだろうし、緊急でなければ予約をとって後日受診するそうなので、
 
医者にかかるのは断念した。
 
 
 
滞在3日目、痛みが少し和らいだ。これは回復の兆しだろう。
 
まだ安静にしていたほうがいいはずだが、せっかくシドニーに来たのに部屋にこもってばかりではつまらない。
 
「早めのリハビリだ」と自分に言い聞かせ、散策に出かけた。
 
 
 
街はクリスマスムード一色。
 
真夏のクリスマスだが、あるショッピングセンターでは人工降雪機で雪を降らせるサービスを行っていた。
 
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空港に置いてあったガイドブック(日本語版)の表2(表紙の裏)に、
 
「世界一おいしい小籠包」という広告があり、それがホルヘの興味を引いた。
 
ディンタイフォンという店だ。
 
そこへ入ってエビ入り小籠包(6個)を注文。
 
そのとき初めて、これまでにちゃんとした小籠包を食べたことがないことに気がついた。
 
これではこの店が世界一かどうか、比較できない。
 
出てきたものは、たしかにおいしかった。
 
しかし、エビの香りがほとんどしない。
 
そして値段は17オーストラリアドル。
 
シドニーの両替では、1ドル=約100円だったので、約1700円ということだ。
 
これは、高い。
 
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ハイドパークまで足を延ばすと、街の公園には不似合いな野性味たっぷりの鳥がたくさんいた。
 
人を恐れず、芝の中の虫か何かをついばんでいる。
 
調子に乗って歩き過ぎ、帰りは1ブロックごとに休憩するはめになった。
 
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翌日の空港で面白いことがあった。チェックインを済ませ、玄関前でタバコを吸っているときのこと。
 
タクシーが到着し、若い女性が降りた。
 
そしてその女性がスマホを落とし、それが車の下へ入り、まさに後輪の直前で止まった。
 
女性は落としたことに気づかず、こちらへ向かって歩いてくる。
 
タクシーが発進したらスマホはペチャンコだ。
 
ホルヘは慌ててタクシーを制するように手を広げながら痛む足で駆け寄り、
 
「テレフォン、テレフォン」と女性に叫んだ。
 
アルゼンチンでケータイはセルラールだが、英語で何というかわからず、とっさに出たのがテレフォンだった。
 
女性は怪訝そうな顔でホルヘを見て、「テレフォン?ホワット?」と訊き返した。
 
そこで、「あれを見ろ」とばかり後輪に轢かれそうなスマホを指さし、「テレフォン」と言った。
 
女性はスマホに気づいた瞬間、「オーマイガー!」と絶叫。
 
素早く拾い上げて事なきを得、ホルヘにも感謝の言葉(聞き取れなかったが、たぶんそうだと思う)を伝えた。
 
テレビではよく見るが、外国人の本気の「オーマイガー」を生で見たのはこれが初めてだ。
 
 
 
帰国翌日、足の診察と健康診断を兼ねて病院へ行く。
 
健康診断はいつでもよかったのだが、このタイミングにしたのは訳がある。
 
足の痛みのせいでシドニーでは酒を控えていたため、少しは肝臓がきれいになっていると考えたからだ。
 
この日は22日の月曜日。翌日が天皇誕生日なのですごく混んでいた。
 
特に整形外科がそうだったので、健康診断の問診をした内科医が、レントゲン撮影を指示し、その後診察してくれた。
 
レントゲンで異常は見当たらず、血液検査の結果、尿酸値が高かったことから、
 
「痛風かもしれませんね」といって、尿酸値を下げる薬を処方してくれた。
 
「やはりそうか」と納得していると、整形外科にもカルテが回っていたため、今度はそちらから呼ばれた。
 
そこの医師の所見もレントゲンに異常なしだったものの、「この場所に症状は出ない」と痛風の可能性を否定。
 
結局、原因はわからず仕舞い。
 
痛みは年末に収まったが、しっくりしない年越しとなった。


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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