コパ・リベルタドーレスの決勝第2戦が、12月9日にスペインのマドリッドで行われるという驚きの発表があった。
会場はレアルのサンティアゴ・ベルナベウ。
アルゼンチン以外の国で開催されることはほぼ決まっていたが、マドリッドというのは意外だった。
 
 
はじめからまとめると、まず11月24日にリーベルのスタジアムで行われる予定だったこの試合に向かうボカのバスが投石などで襲撃され、キャプテンのパブロ・ペレスが左目を負傷。
一度は翌日に順延となったが、リーベル側の不祥事でキャプテン不在の試合を強いられるのは不公平だとボカが訴え、リーベルも同調。
早く試合を行いたいCONMEBOLと、「ペレスが復帰するまで待つ」というボカとリーベルの1対2の構図となり、またも順延(日時未定)となった。
 
 
しかしそこからボカが爆弾を持ち出して話が混乱する。
「リーベルは失格で、優勝はボカ」とCONMEBOLに提訴したのだ。
2015年のコパ・リベルタドーレスのトーナメント1回戦でボカとリーベルが対戦した際、ボカサポーターがスタンドからリーベルの選手にペッパーガスを噴射するという事件があった。
このときはボカが失格となり、リーベルが勝ち上がった。
 
 
元々ボカサイドには、CONMEBOLとリーベルは蜜月関係にあり、常にボカは不利な立場にあるという不満がある。
15年のCONMEBOL 裁定もリーベル寄りだという考えが根強く残っており、ボカの強硬派幹部たちがアンヘリッシ会長に詰め寄って対決姿勢へ持ち込んだ。
 
 
27日にパラグアイのCONMEBOL本部で両クラブ会長を含めた会議が開かれ、CONMEBOLのドミンゲス会長は、「アルゼンチン以外の国で12月8日か9日に行う」と発表。
ボカの「戦わずして優勝」という訴えは退けたものの、リーベルからホーム開催の利を取り上げることで、適当な落としどころと判断したのだろう。
しかし、ボカは規律委員会に上訴。
そこでも認められなければ、スポーツ仲裁裁判所に提訴すると表明した。
 
 
ボカがリーベルを訴えた段階で、国外を含む中立地での開催という決定が下される可能性が生まれた。
そのためジェノバ、マイアミなどからオファーが届いたが、最有力だったのはカタールのドーハ。
なにしろ、次回W杯開催の首都だ。
カタール航空はブエノスアイレスに就航しているし、クラブW杯開催国のUAEにも近い。
優勝チームはそのまま簡単に現地入りできる。
しかも、ボカの今期の胸スポンサーはカタール航空。
試合拒否の姿勢を貫いているボカも、大スポンサーが絡めば譲歩する可能性が高い。
さらに魅力的だったのは、高額な経済的保障。
ホームでの試合を失ったリーベルに250万ドル、被害を受けたボカにもお見舞金で200万ドル。
優勝賞金は490万ドルで、負けたチームにも210万ドルが支払われる。
優勝チームの選手ボーナスが100万ドルで、負けたチームの選手へは50万ドルという好条件。
もちろん、これとは別にCONMBOLの利益も考慮している。
 
 
「ドーハで決まり」と思われていただけに、マドリッドというのは意外過ぎた。
いったい、どこから出てきたのか。
ドーハやマイアミが招致合戦を繰り広げる中、FIFAとUEFA主導で画策され、スペイン協会、レアル、スペイン政府の合意と協力を取り付けたのだという。
FIFAからの話ではCONMEBOLも逆らえず、この決定に至ったのだった。
 
 
この発表前にボカの上告は規律委員会で却下された。
スポーツ仲裁裁判所へ提訴しても、結果が出るまでには時間がかかる。
強硬姿勢を貫いて試合を放棄すれば、最高で5年間のCONMEBOL主催大会への出場禁止処分となる。
ボカとすれば、ここが鉾の納め時だろう。
また規律委員会では、リーベルに40万ドルの制裁金と、CONMEBOL主催大会での2試合の無観客試合という処分も下された。
 
 
当初の試合日の前日、リーベルのバラスの自宅から入場チケットと現金が警察により押収された。
当初はチケット250枚と約1200万円だったが、続報では300枚の約2100万円となった。
家にはプリンターなどが多数あり、そのためチケットは偽造品で現金は売上と発表されていた。
ところが、後になってこれらのチケットは本物と判明。
バラスの入場用に用意されたもので、現金は必要枚数以外を売りさばいたものと推測されている。
 
 
数百枚のチケットの横流しとなると、クラブの幹部が関与していなければほぼ不可能だ。
ということで、リーベルのスタジアム内にある本部が、この件で家宅捜索を受けた。
 
 
一説には、試合前日にチケットを押収されて入場できなくなったバラスが、リーベルの幹部にさらなる横流しを要求したが拒否され、「チケットをよこさなければ、試合ができないようにする」といって凶行におよんだとされている。
これが事実なら、今回の事件の発端は、クラブとバラスの癒着ということになる。
今後の捜査でそれが明らかになれば、リーベルは刑事責任も追及されることとなる。
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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