10月25日は、アルゼンチンの大統領選挙投票日だった。
 
投票は国民の義務で、前日の夜から酒類の販売も規制される。
 
候補者は大規模な集会を各地で開きそれがニュースで流されるが、
 
日本のように選挙カーが走り回らないため選挙期間中でも街中は静かだ。
 
 
 
投票結果は、与党候補にしてクリスティーナ現大統領の後継者である
 
シオリ(ブエノスアイレス州知事)が総投票数の36.86%を獲得して1位。
 
ブエノスアイレス市長のマクリが34.33%で2位となった。
 
規定では、当選を果たすためには45%以上の得票、
 
または40~45%を得たうえで2位に10ポイント差以上をつけなければならない。
 
シオリは1位となったもののこの要件を果たしていないので、
 
上位2名による決選投票が11月22日に行われることとなった。
 
 
 
外国の選挙では、このように決選投票が行われることが多い。
 
ホルヘはこれがかねてより疑問だった。
 
なぜ1回目の投票だけで決めないのか。
 
日本の首長選挙のように、1回の投票だけでも充分に民意は反映されると思う。
 
2回も行うのは税金の無駄遣いだ。
 
 
 
しかし7月に行われたブエノスアイレス市長選挙で面白い展開を目撃し、
 
決選投票にも意義があると感じた。
 
この選挙は、1回目で50%以上獲得しないと当選できない。
 
そして1回目では、マクリ現市長の後継者ラレッタが45.5%を獲得。
 
2位の得票率25.5%に大差をつけた。
 
これなら決選投票も楽勝と思われたが、何とその結果はギリギリ51%という薄氷の勝利だった。
 
 
 
これは、マクリ嫌いの票が対立候補に流れたため。
 
ボカの会長時代、クラブに黄金期を創ったマクリは、市長に転身してからも大胆な政策で多くの実績を作った。
 
人気は高いものの、強引でアクが強い彼を嫌う市民も多い。
 
何となく、大阪の橋下市長に似ている気がする。
 
マクリ嫌いの人たちは、決選投票で彼の後継者を勝たせないよう、対抗馬に票を投じたのだ。
 
 
 
大統領選は与党のシオリ対野党5候補という構図だった。
 
ここでマクリが2.5ポイント差につけたのは大きい。
 
マクリはブエノスアイレス市長なので、彼を好きな人も嫌いな人も首都圏に集中している。
 
地方の大票田には反マクリ票は少ないので、他の野党候補者へ投じられた票の多くはマクリに行くと思われる。
 
 
 
シオリは水上のF1と呼ばれるパワーボートの元パイロットで、レース中の事故で左腕を失っている。
 
彼は高い人気を誇っていたが、約2か月前、地元が大洪水になったのに
 
イタリアへ遊びに出かけたことで顰蹙を買った。
 
元代表にして元ボカのリケルメを、反マクリの象徴として選挙キャンペーンに引っ張り出したが、
 
結果は数字に表れなかった。
 
シオリに残された道は、メッシを抱き込むことくらいしかなさそうだ。