想定外 ホルヘ三村 2015年11月20日 アルゼンチン, ブラジル, ホルヘ・ミム〜ラ W杯南米予選第3節のアルゼンチン対ブラジル。 試合日の11月12日は大雨の予報だった。 外れることを願っていたが予報は的中し、午後から本降りとなり雨脚はさらに増していく。 コパ・リベルタドーレス決勝といい、今年は大事な試合が雨に祟られる。 数日前にホルヘは、素晴らしい雨対策を発見した。 ゴルフ用の大きな傘を使うのだ。 傘が大きければ、それだけ雨を防げるのは当然のこと。 発見というのは、傘の柄をズボンの中に入れること。 これで傘は安定し、両手は100%撮影に使える。 普通の傘では柄が短く、この技は使えない。 ただし大きな傘を使うと周囲のカメラマンの迷惑になるので、 カメラマン席に座らず、その後方での立ち撮りとなる。 スタジアムまで2キロメートルほどのバス停で降りると、雨に加えて風も強くなっていた。 スタジアムはラプラタ河の近くにあるので、そちらから強風が吹いている。 道路の歩道寄りは冠水が始まり、道を渡るときはそこを通らねばならない。 スタジアムに近づけば近づくほど低地となり冠水の水嵩が増す。 レインブーツを履いていたが、水深がブーツの高さを上回ったので靴の中は水でタポタポ。 ズボンは腿までびっしょり濡れていた。 スタジアムに着くと、「今日は中止になりそうだ」との噂が飛び交っていた。 この日に行われなければ、翌日に順延になるという。 それは、非常に拙い。翌日はゴルフなのだ。 13日には、毎年参加している日本郵船グループの招待コンペがある。 ホルヘの知り合いがこの会社のお得意さんなので招待され、一緒にプレーすることになっていた。 4人一組のグループ対抗戦なので、欠席すると皆に迷惑をかける。 「頼む、中止にならないでくれ」と願うも、そんなものが届くわけもなく順延が決定。 今更替わりの人間は見つからないだろうし、これは困ったことになった。 そこで熟考の末、二兎を追うことにした。午後1時スタートのコンペに参加し、 それから午後9時キックオフの試合に行く。 ホルヘは車を持っていないので、ゴルフへ行くときは仲間に乗っけていってもらう。 招待コンペなので、ゴルフの後に立食パーティーやプレゼントの抽選会などお楽しみがある。 仲間はこれを楽しみにしているので、ゴルフ終了後にすぐ帰るのはホルヘだけ。 ゴルフバッグとカメラバッグを持って行き、ゴルフ道具は仲間に預かってもらい、 カメラバッグを持って列車でスタジアムへ行くことにした。 幸い、ゴルフ場の近くに駅がある。 この無人駅からディーゼルの汽車に乗り、国際空港近くのエセイサ駅で電車に乗り換える。 そして、ブエノスアイレス市内のコンスティトゥシオン駅から地下鉄を2本乗り継いでスタジアムの最寄り駅まで行く。 所要時間も時刻表も調べず行き当たりばったりだったが、なんとかギリギリで試合開始に間に合った。 試合はメッシ、アグエロ、テベス、パストーレらが不在で劣勢が予想されていたアルゼンチンがペースを掴み、 ラベッシのゴールで先制。 その後もチャンスはあったものの追加点は奪えず、ルーカス・リマに同点弾を許して引き分けに終わった。 Tweet