南米好きのホルヘとしては、南米のチームと日本のチームが試合をする場合、どちらを応援するかで悩む。
 
歴史と伝統のある南米が、サッカー後進国に負けるのは釈然としない。
 
ホルヘが若かりし頃は、”南米“といえばサッカーの”虎の穴“みたいな存在で、とにかく畏敬していたものだ。
 
しかし日本には成長してもらいたいし、タイトルも取って欲しい。
 
それに惨敗でもすると、こちらの人々からそのことでからかわれたりする。
 
 
 
ということで、南米ペースの展開で、日本は堅守で耐えて2,3回決定機を作り、
 
結果は引き分けか惜敗というのが理想的だと思うようになった。
 
ところが、今回はサンフレッチェを応援した。
 
野球は幼少のころから広島ファンだが、サッカーでは別に広島が好きということはない。
 
しかしアルゼンチンではマスコミをはじめ連日リーベルのことで浮かれているので、
 
それに対する反発心が起きたようだ。
 
というわけで珍しく日本勢の勝利を願うも、皮肉にも“理想”の結果になってしまった。
 
 
 
決勝点はGK林のキャッチミスによって生まれた。
 
このようなシーンは、代表の試合でも数多く見てきた。
 
相手が先か自分が先か、というきわどいシーンでのクロスへの対応。
 
ここに日本のGKの弱点がある。
 
あのケースで、なぜキャッチしようとするのか。
 
 
 
日本では、GKの基本はキャッチだ。
 
GKがボールを保持すれば、それが最も安全な状況となる。
 
パンチングで弾けば、それがまた相手に渡る可能性があり、ピンチが続いてしまう。
 
だからキャッチが最善の策だと考えられている。
 
それに異論はない。
 
しかし、確実にキャッチできたとしての話だ。
 
 
 
競り合いの中では不確実性が増え、今回のようにキャッチできないことがある。
 
したがって、相手が近くにいて100%の確実さがない場合は、パンチングを選択すべきだろう。
 
林は試合開始直後にも似たようなケースに対応し、ボールを叩いて近くに落とすという危ないプレーをしている。
 
 
 
初めからキャッチのつもりでボールに向かってジャンプすると、手のひらは上を向き、ヒジは伸びている。
 
この状態では、ボールを叩こうとしても強い力は加えられない。
 
キャッチからパンチに切り替えると非常なリスクが生じる。
 
はじめからパンチングなら、手はグー(パーでもいいが)で、ヒジは曲がっている。
 
ここからボールを弾けば、プロなら30メートル以上は飛ばせる。
 
体勢が崩れても、パンチングなら片手でできるというのも強みだ。
 
 
 
以前コロンビア代表の練習を見て驚いたのは、GKの最初の練習が、ボールを次から次へとバシバシ弾くことだったこと。
 
まるで、パンチングが基本でキャッチは二の次という感じだった。
 
 
 
日本人は基本を重要視し、繰り返されるトレーニングでそれが身についている。
 
歴代の日本代表GKだった横山、瀬田、森下らからJリーグ後の川口、楢崎などもキャッチ主義者で、それによる失敗をしている。
 
現在の日本のGKレベルは、シュートへの反応、ポジショニング、コーチング能力では世界レベルにある。
 
しかし、ポロがある。キャッチしに行って取り損なうポロだ。
 
 
 
同じようなミスを重ねないために、中学生年代からしっかりパンチングを指導すべきだと思う。
 
キャッチが基本というのは変えないが、パンチングの重要性とキャッチングの危険性を認識させ、
 
パンチで逃げるトレーニングに力を入れる。
 
極端な話、中学生年代なら、相手が近くにいるときのクロスへの対応は、キャッチ禁止、すべてパンチでいいと思う。
 
パンチで行って、余裕があると判断すればキャッチに変更するのが第二段階。
 
 
 
日本のGKはもっとパンチングせよ。
 
そのために、少年期の指導を見直すべき。というのが、ホルヘの持論なのだ。
 
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About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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