正月2日の昼過ぎ、行きつけのバーのママから新年メールが届いた。
 
返信しようとして、それがSMSであることに気づいた。
 
彼女は頑なにケータイを持たない主義だったが、ついに買ったのかと思い、
 
「今年もよろしく。ケータイ買ったの?」と送信した。
 
 
 
すると、「友達のケータイ。今、入院中」との返事が来た。
 
「なんで?」と訊くと、「鎖骨折った」という。
 
彼女は大晦日から大阪に帰省するはずだったので、「大阪で?」と送ると、
 
「○○病院」と返してきた。この病院は、ホルヘがいつもお世話になっているところだ。
 
 
 
早速、花とフリカケなどを持って見舞いに行った。
 
なんでも29日の夜更けに鎖骨を折り、救急搬送されたのだという。
 
折れ方が悪いので、年明け5日に手術するとのこと。
 
 
 
ちなみに彼女は過去にも鎖骨と首の骨を折っている。
 
さらに、クリスマス明けに脚の指もやっている。
 
1週間以内で2度も骨折するとは、なんと間抜けな、いや、なんと不運な人だろう。
 
翌日も見舞うことを約束し、買ってきてほしいもののリクエストを聞いた。
 
 
 
ところがその夜中から、右ヒザが痛くなって腫れ始めた。
 
過去にアルゼンチンで経験したのと同じ症状だ。
 
そのときは、「痛風の疑い」と診断されている。
 
未明になる痛みが激しくて眠れず、ヒザはまったく曲げられなくなった。
 
 
 
これでは見舞いどころではないが、痛み止めだけでも出してもらおうと休日対応の医療機関を探すと、
 
偶然にもあの病院がそうだった。
 
足を引きずりながら、普段の3倍以上の時間をかけ、途中で見舞い品を買い、病院にたどり着く。
 
治療を終え病室へ顔を出すと、ホルヘの無様な姿を見た彼女が、「老老介護みたい」といって笑った。
 
 
 
強力な消炎鎮痛剤の処方箋をもらったが、病院周辺に数件ある薬局はすべて閉まっている。
 
三が日はそれが当然だ。
 
結局、かなり離れたマツキヨまで電車で向かう。
 
帰りは心が折れてタクシーに乗ったが、これが大失敗だった。
  
 
 
右ヒザが曲がらないのだ。
 
乗るときはお尻から入り、そのままズルズル入っていったが、後者のときが最悪だった。
 
右足が引っかかってどうにもならず、最後は無理やり曲げて引き抜き、
 
それが患部に大ダメージを与えた。
 
タクシーが去ったあとも、しばらくそこを1歩も動けない。
 
それまでは、ヒザを伸ばしていれば、右足だけで体重を支えられた。
 
しかし、それができない。
 
タクシーに乗ったせいで、病院へ行く前より悪くなってしまった。


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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