熊本地方を襲った大地震では、家屋の倒壊による犠牲者が多かったと聞く。
耐震や免震の意識が高くその技術に長けた日本でも、自然の猛威に打ち勝つことはできなかった。

ほぼ同じ頃、南米のエクアドルでも巨大地震が発生し、20日時点で死者525人、行方不明者231人という大惨事となった。
被害が多かったのは中部沿岸地帯。
エクアドルとはスペイン語で赤道を意味し、その名の通り赤道直下に位置している。
首都のキトがある山岳地帯は標高が高く過ごしやすいが、沿岸地帯は暑い。その一方で、1年の4~5ヶ月は雨期のため雨が多い。

沿岸地帯の建物の多くは、2階から上が道路側に飛び出している。
歩道を歩くと、その飛び出した部分が屋根となり、日差しと雨を防いでくれるのだ。
気候条件にマッチした、機能的設計といる。
しかし耐震面ではもろく、それが被害の拡大につながった。

またニュース映像で見た限りでは、地震の瞬間も人々はよろけずに歩けていたし、スーパーの陳列棚からも、それほど商品が落下してはいなかった。
マグニチュードは7.8とされているが、震度は5強とか6ではないのだろうか。
それなのに橋が落ちて多くの建造物が崩壊したのは、強度不足が原因だと思う。

エクアドルは、ホルヘが初めて住んだ国。
それだけに思い入れも強い。
被害地域のマンタやグアヤキルにアミーゴもいる。
メールを送っても返信が来ず、電話をしてもつながらない。
電気や通信回線が不通となっているのだろう。

ホルヘを不安にさせたのは、日本の外務省が、「邦人4名と連絡が取れない」と発表したこと。マンタには、菅原さんという日本人がいる。
彼は漁業関係で成功した方で、20年ほど前にはグリーンクロスという1部リーグ所属サッカークラブの会長にもなっていた。

ホルヘがグアヤキルで強盗に襲われ、それが現地の新聞で報じられたことがきっかけで知り合い、その後は「会長」としての彼を取材させてもらったり、エクアドルでプレーを希望する日本人選手を紹介したり、いろいろなお付き合いをさせてもらった。

エクアドルにはブラジル、ペルー、ボリビアのような日本との移民協定がなかったので、邦人は少ない。
一時期あった日本人学校も廃校になってしまった。
そんな中、4名と連絡が取れないというので、これは心配になる。
しかし今日になってやっと、息子から返信が来た。
本人がメールをやらないので、息子宛てに送っていたのだ。
とはいえ、まだ多くの知人たちと連絡が取れない。

熊本もそうだが、被災者たちが大変なのはこれから。復旧を急ぐのはもちろんだが、日々の苦労を少しでも取り除くような支援が必要だと思う。