突然ですけど僕、電車移動が好きなんです(笑) 電車に乗るのを趣味かつ目的とする人たちを『乗り鉄』って言うらしいんですけど、僕は電車に乗るというよりも、厳密に言うと駅が好きなんです。たぶんその趣向の始まりは幼稚園くらいだったでしょうか。電車で旅行する時には止まる駅の表札をいちいちチェックしていたことを覚えています。あのひらがなで駅名が書いてある感じが何とも言えないんですよ。「こうふ」とか「たかさき」とか(笑)
そんな感じなので、この仕事をしているおかげで色々なスタジアムへ赴ける特性を生かして、1人で移動するときは基本的に必ず電車を使っています(東京から九州か北海道へ向かう往路は除く)。特に初めて行くスタジアムが単線ローカルなんかに乗らないといけない時なんて、正直試合を見るのと同じくらい、未知なる駅と出会えるのを楽しみにしちゃっている自分がいます。
これは去年、とりぎんバードスタジアムで目撃した信じられないレノファ山口のJ2昇格劇が起こる4時間ぐらい前に、電車の中から目撃した信じられない駅の表札です。ハートって斬新過ぎるでしょ(笑) ちなみにこの駅の駅舎、真っピンクです。『恋山形駅』で検索すれば想像を絶するレベルの画像が出てくることでしょう。あえてなのか偶然なのか、この駅を通過するタイミングで単線ゆえに対向電車とすれ違うための待ち合わせがあったので、この写真を撮れました。普通の速度で通過していたらたぶん見間違えだと思ったでしょうね(笑)
現在Jリーグに所属しているクラブが本拠地を置くスタジアムの中で、おそらくは最も最寄駅から近いスタジアムとして知られるベストアメニティスタジアム。「かもめ」や「ゆふ」といったJR九州ならではの車両を有する特急に揺られ、鳥栖駅が見えてくると同時に見えてくるベアスタ。その駅とスタジアムの近さが何かと取りざたされることが多いんですけど、この駅でJリーグのゲームがある時は必ず写真のように、アウェイチームを歓迎する貼り紙とフラッグが掲げられています。そして、駅員さんたちは揃いも揃ってサガン鳥栖のユニフォームを着用。これに近いことをされている駅はほかにもあると思いますが、貼り紙や駅員さんの雰囲気も含めて、僕は鳥栖駅のこの感じ大好きですねえ。ちなみにホームにあるうどん屋さんで“かしわうどん”を食べるというのは、試合を見るのと同じくらい重要なイベントですよ(笑)
途中から完全に在来線と同じスピードになり、踏切のある線路も走っちゃう山形新幹線。僕はあのノリがかなりお気に入りなんですけど、当然Jリーグの仕事で山形新幹線に乗っている訳ですから、目的地はNDソフトスタジアム山形。この最寄り駅である天童駅の改札を飛び出し、ロータリーへと続く階段を下りると飛び込んでくるのが写真のポスト。日本の将棋の駒の9割を製造しているという天童のいわば象徴的とも言うべきこのポストは、何回この駅を訪れても必ず写真に収めてしまう中毒性があるんです。この写真は去年の6月に撮ったものですが、違う時に撮ったまったく同じ写真があと5枚くらいは僕のフォトコレクションに収められています(笑)
完全なる単線。右下に映る「矢原」の文字。「やはら」ではなく「やばら」。ここはレノファ山口がホームスタジアムとして使用する維新百年記念公園陸上競技場の2番目に近い駅(僕は最寄りだと思って降りたんですけど・笑)。「やはら」ではなく「やばら」駅です。スタジアムまでは徒歩20分くらいだったでしょうか。失礼を承知で言わせて頂くと、完全なる田舎道を通って行くんですけど、なんかその道が最高なんですよ。突然おしゃれな洋服屋さんが出てきたかと思えば、郊外にありがちな巨大パチンコ店がその姿を現したりと、なんか飽きないんです。当然駅も無人です。改札なんてありません。それでいいんです。取材を終え、再び20分くらい歩いて駅に戻った頃には、もうホームにサポーターの方の姿はほとんど見当たりませんでした。参考書を読んでいる高校生風の学生。メッチャ喋ってる30歳前後のカップル。背筋の伸びたおじいさん。僕はその時初めて山口を訪れたんですけど、当たり前ながら「ああ、僕の住んでいる所からこんなに遠い所にも、それぞれの人のそれぞれの生活があるんだなあ」と妙にセンチメンタルな気持ちになってしまい、気付いたら帰り道のローソンで買ったアイスコーヒーをちょっとこぼしていました(笑)
サッカーを好きになっていなければ行かなかった所に、サッカーを好きになったばかりに色々と行かせてもらいました。ゴールデンウィークです。皆さんもいつもよりちょっと遠い所へ出掛けて、サッカーを見に行くのも楽しいかもしれませんよ(もちろん電車で・笑)。