抱えた志に境界線はなし 土屋 雅史 2014年2月4日 土屋雅史, 日本サッカー 「この世界にはまだまだ知らないことがある」 当然ではあるものの、なかなかそういう事実を改めて実感することは 大人になると少なくなってくるのかもしれません。 東京都クラブユースU-17サッカー選手権。 東京のクラブユース連盟に所属する14のクラブが参加し、 10月の1次リーグを勝ち抜いたチームが 1月中旬からスタートする決勝リーグへ駒を進めます。 大会自体は確か4年ほど前から実際に取材していたものの、 対象となっていたのはFC東京U-18や 東京ヴェルディユースといったJクラブユース勢。 あるいは三菱養和SCユースや横河武蔵野FCユースといった いわゆる強豪にカテゴライズされる街クラブ。 それ以外のチームはあまりよく知らなかったというのが正直な所です。 とあるキッカケで今年は決勝リーグに参加した 全8チームを取材することができました。 例えば東京ヴェルディユースや三菱養和SCユースは 高校年代最高峰の高円宮杯プレミアリーグEASTに所属しています。 例えば杉並アヤックスというチームは 今年は地区リーグ2部で戦っていたそうで、 両者の間には実に6つものカテゴリーが存在しているのです。 そんなチーム同士が激突するこの舞台は さながら天皇杯のようなロマンも併せ持ち、 カテゴリーが下のチームからすれば 「強いチームと戦えるだけで経験になる」というような 感覚なのかなあと勝手に思っていました。 そんなこと、全然ないんです。 プリンス関東に所属しているFC東京U-18を相手に、 終了間際の決勝ゴールで敗れたものの、1-2というスコアも含めて、 傍から見たら大健闘したように見えたFC町田ゼルビアユース。 ところが、試合後にお話を伺った竹中穣監督は 「スコアだけが収穫かなと。内容は散々というか、 どっちかというとネガティブな捉え方しかしていない」とバッサリ。 ただ、これって本気で勝ちに行っていたからこその本音ですよね。 FC東京U-18相手に1-4、東京ヴェルディユース相手に2-5。 東京高校年代のピラミッドにおいては頂点に君臨し続けている 2つのJクラブ相手にゴールを挙げるなど、 今大会で大きな存在感を発揮した杉並ソシオ。 ところが、こちらも西野泰治監督はやや不満そうな様子。 「守備の考え方は変えたけど、攻撃の考え方は全然変えていないので、 相手のフィジカルが高くなったり、相手が強くなったりすると その攻撃が出せないのは厳しい」とのこと。 相手のレベルを考えて、守備面ではいつもと違って ブロックを組むようなやり方を選手に与えたものの、 攻撃はいつも通りにやらせたのにできていないと。 コレって目指す所があまりにも明確ですよね。 カテゴリーだけを捉えて、 一見“格上”と“格下”の対戦というイメージを抱きがちなゲームも、 当事者にお話を伺うと、その抱えた志に唸らせられることも多々。 まだまだサッカーの裾野は広いですね。 「この世界にはまだまだ知らないことがある」 東京都クラブユースU-17サッカー選手権。 改めてそのことを体感させてくれた大会でした。 写真はFC町田ゼルビア対杉並ソシオの一コマです。 Tweet