古都を盛り上げる”バニーズ”の挑戦 土屋 雅史 2016年8月1日 土屋雅史, 日本サッカー バニーズ京都SCというチームをご存知でしょうか? カテゴリーとしてはなでしこリーグへの昇格を狙う、3部相当のプレナスチャレンジリーグに所属している女子のサッカーチーム。 名前の通り、京都を本拠地にしているそのチームは、大きなサッカー愛に包まれている“マジな”集団でした。 エディオンスタジアム広島でサンフレッチェとヴィッセルの中継を終えた翌日。 東上する途中の古都で新幹線を降りました。 目的は西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場という、Jリーグで使用するオール漢字のスタジアム名では日本で一番の長さを誇っている通称“西京極”で行われる試合を見るため。 プレナスチャレンジリーグWESTの最終節。 バニーズ京都SC対新潟医療福祉大学女子サッカー部がその試合でした。 なぜこの一戦を見に行ったかと言うと、バニーズ京都SCのアドバイザーを務めている大木武さんとの縁。 元々親交のあった大木さんにある理由で今年初頭に非常にお世話になった経緯もあり、「今シーズン中に1度は取材に行きます」という約束を果たすべく、この日の西京極へ向かったという訳です。 実はなでしこリーグも生で見たことはなかったため、このレベルの女子サッカー観戦は初めての経験。 「どんな感じなんだろうなあ」と思いながら当日を楽しみにしていましたが、結果的にピッチ内外を含めてバニーズ京都SCのゲームを見に行ったことは大正解でした。 今回の来訪は内緒にしていたため、まず大木さんを驚かせることに成功(笑) 結構驚いてらっしゃった大木さんですが、すぐにチームの運営の方、副理事長の方、そして監督と矢継ぎ早にご紹介して下さいます。 そこでご紹介された皆さんが、まあ揃いも揃って良い人ばかり。 話しているとそこかしこに“バニーズ愛”が滲み出ているんですよ。 千本哲也監督もおっしゃっていましたが、やはり京都という土地は黙っていても日本中から、あるいは世界中から観光客が訪れる場所であり、あえてサッカーで盛り上げようという機運になりにくいのが実情とのこと。 ただ、だからこそ「『バニーズ楽しいで』『バニーズ面白いで』ということがもっともっと広がるようにしていきたい」(千本監督)というマインドを、チームに関わる全ての人が共有している様子がハッキリと伝わってきました。 スタンドに集まった500人近い方の大半はバニーズを応援することが目的の人々。 子供たちも大人たちもそれぞれの形で、客席からピッチの選手たちに声援を送ります。 試合は0-0で推移していく中、後半アディショナルタイム目前の90分に10番を背負う松田望選手の決勝ゴールが飛び出し、劇的な展開でバニーズが勝利。 8月末から始まるプレーオフに向けて、弾みの付くような白星獲得となりました。 そして、試合後にはピッチ上ですぐさまサッカー教室が。 さっきまでそのピッチを走っていた選手たちが、子供たちと一緒にボールを蹴り合います。 「今日もああやって試合終わりの選手も、子供と一緒にピッチでボールを蹴ることの大事さは理解してくれているので、そういう意味でも積極的に色々なことをやっていって、もっともっとお客さんを増やしたい」と話したのは千本監督。 最後までバニーズを、そして京都のサッカーを盛り上げようという姿勢を見せ付けられ、個人的にも色々なことを改めて考えさせられる1日になりました。 後日、運営担当の方から届いたメールの一文が印象的でした。 「自分で言うのもなんですが、凄く魅力のあるチームだと思っているので、バニーズの自慢の監督や選手達をまた観にきていただけるように頑張ります!」。 こんな気持ちで働いている人がいるなんて、ハッキリ言って最高ですよね。 リーグ戦を2位で終えたバニーズは、8月27日からなでしこリーグ昇格を懸けて4チームで争われるプレーオフを戦います。 熱い人たちだらけのバニーズは果たして悲願を達成できるのでしょうか。 彼女たちの挑戦に是非注目してみて下さい! Tweet