NHKの国際衛星放送で、広島が優勝を決めた試合を観た。
NHKがプロ野球を放送するのは1か月に1回程度。
それほど少ないにもかかわらず、25年振りの優勝という歴史的(?)瞬間を観ることができたのは幸運だった。
実はホルヘ、広島ファンなのだ。
 
 
父親は阪神ファンのアンチ巨人。
ホルヘが幼少のころ、広島は非常に弱く、「セリーグのお荷物球団」などと呼ばれていた。
当時はプロ野球放送がゴールデンタイムの花形番組で、いつも巨人の試合を放映していた。
父親の影響でアンチ巨人となったホルヘは、広島が弱いながらも巨人戦に奮闘する姿に惹かれた。
安仁屋、外木場といったピッチャーが好投し、実力差以上の勝負をしていたのだ。
 
 
そして、2番・ショート・三村の出現。
後に監督も務めたホルヘと同姓のこの選手は、セカンドなど複数のポジションをこなしていたが、定番はショート。
昔、男の子の遊びといえば野球だった。
まだ空地も多く、場所には困らなかった。
集まった人数をチーム分けし、今度はチーム内で打順とポジションを決める。
4番やピッチャーは希望者が多く、しばしばケンカの元になったりしたが、ホルヘは、「オレ、2番・ショート」といって、いつも無風で当選していた。
 
 
そんな生粋の広島ファンなので、1975年のリーグ初優勝には歓喜した。
そして79年に日本シリーズを初制覇したときは、酒屋で缶ビールを多数買い、自転車で近所の友人宅を回り、玄関で強制祝杯を次々と行った。
最近はプロ野球シーズンに日本にいないので選手のことにも詳しくないが、それでもネットニュースで勝敗をチェックしては一喜一憂していた。
 
 
今年の6月くらいだったと思うが、地下鉄の階段を下っていると、CARPと背中に大きく書かれた赤いジャンバーを着た人が前を歩いていた。
広島ファンのアルゼンチン人なのだろうか。
もしそうなら、アミーゴになりたい。
近づいて声を掛けようとした瞬間、「アッ、違う」と気がついた。
これはカープでなく、CLUB ATLETICO RIVER PLATEの頭文字を並べたものなのだ。
 
 
リーベルのウェアにはRIVERもしくはRIVER PLATEと書かれているのが一般的だが、正式名称の頭文字でCARPとすることもたまにある。
チームカラーが白と赤なので、赤を基調としたものも多い。
もう少しで、「あんた、広島カープのファンなのか」とトンチンカンな声をかけて恥をかくところだった。
 
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About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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