辞めない監督 ホルヘ三村 2016年11月18日 アルゼンチン, ホルヘ・ミム〜ラ 11月10日と14日に、W杯南米予選第11節と12節が行われた。 第11節、プレーオフ圏外の6位と低迷するアルゼンチンは、アウェイのブラジル戦で0-3の完敗。 パラグアイがホームでペルーに敗れてくれたおかげで7位転落は免れたが、とにかくひどい出来の試合だった。 次節のコロンビアに負けると、本当にやばいこととなる。 こうなると、当然のごとくバウサ監督への批判は高まる。 彼が就任後、代表の成績は1勝2分け2敗。 しかし、実質的に現在のアルゼンチンサッカー界のトップである正常化委員会のペレス委員長は、ブラジル戦の後、「バウサとの契約を尊重する」と明言。 「コロンビアに敗れても続投か」との問いにも、「もちろんだ」と答えた。 サッカー大国では、成績が悪いとすぐに監督はクビになる、というのが定説だが、アルゼンチンでは必ずしもそうとはいえない。 たとえば代表監督については、長い歴史の中で解任されたのは、2011年のバティスタだけだという。 成績不振でチームを離れる場合、そのほとんどが辞任なのだ。 クラブでは、解任のケースも多々ある。しかし、監督は素直に従って去っていく。 彼らはサッカー界で生き続けなければならないので、契約を盾にゴネたりしない。 辞め際が悪いと、次の話が来なくなるからだ。 しかしそんな中、ゴネにゴネた監督がいた。 2004~2005年にボカを率いたベニテスだ。 彼は04年のシーズン途中に就任し、12月にはコパ・スダメリカーナに優勝。クラブに国際大会の栄冠をもたらした。 そして翌年はコパ・リベルタドーレスに出場し二冠を目指したが、準々決勝のグアダラハラ戦で、相手選手の顔に唾を吐きかけるという愚行をしてしまう。 CONMEBOLからのペナルティ以外にも、たしか裁判所からも何らかの処分を受けたと記憶している。 この件が元で解任となるのだが、彼は頑として拒否。 それでも新監督が決まると、契約違反だとして違約金の支払いを求めてクラブを訴えた。 あれから10年以上経つが、ベニテスが再びチームを率いることはなかった。 嫌いな監督ではあったが、今何をしているのか気になる。 ペレスの全面的支持を受けたバウサは、コロンビアとの試合でイグアインに替えてプラットを起用。 彼はブラジルのアトレティコ・ミネイロ所属で、サッカー通以外には知られていない選手。 ニュースや情報番組では、「プラットって誰?」というコーナーを設けたり、彼を知っているかどうかの街頭アンケートを行ったりしていた。 プラットはチームの2得点目をマークしてこの抜擢に応えた。 しかし圧巻はメッシで、先制のFK弾と2アシストの大暴れ。 全得点に絡み多くのメディアから10点満点の評価を受けた。 アルゼンチンはこれでコロンビアと入れ替わって5位に浮上。 次節は来年3月にチリを迎え撃つ。 どうやらその試合は、久々にボンボネーラで行われるようだ。 Tweet