12月23日に帰国した。
この日は言わずと知れた天皇誕生日。
日本の在外公館では、国家元首の誕生日を祝う式典とか行事を行うそうだ。
1996年の在ペルー日本大使公邸占拠事件も、天皇誕生日の祝賀レセプションの際に起きた。
犯行グループであるゲリラは、多くの要人が集まるレセプションを標的にし、約600人を人質にした。
これ以降大規模な行事は控えるようになったものの、祝賀会は開催されている。
しかし12月23日というのはクリスマス直前であり、キリスト教徒の多い国では、他国の元首のお祝いどころではない。
そこで、日にちをずらして開催する。
 
 
ペルーの事件は、12月7日だった。
アルゼンチンでも、前倒しにして行っている。
しかし南米の多くの国では、お祝いの前倒しはしない。
何らかのサービスを期待して、行きつけの飲み屋で、「明日、誕生日だ」といっても、1ドリンクおごってくれるどころか、「おめでとう」の言葉もない。
月曜日が誕生日だから、人が集まりやすいその前の日曜や土曜にパーティーを開くということもしない。
前倒しは、縁起が悪いとされているのだ。
天皇誕生日の祝賀会に招待された南米の人たちは、この前倒しをどのように感じているのだろう。
 
 
帰国便は今回もカンタス航空。
今回はプレミアム・エコノミーという席で、機内での待遇はビジネスクラスと同等のもの。
座席は大きく食事も豪華だ。
しかし、機体がまずかった。
かなり年季の入ったジャンボ機で、映画を観るシステムが古く本数が少ない。
日本語の吹き替えや字幕の洋画はなく、日本語で楽しめるのはシンゴジラともう1本の邦画のみ。
しかもサンティアゴ→シドニー路線とシドニー→羽田路線の映画が同じ。
シドニーまでのフライトで日本映画は2本とも観てしまった。
もう、観るべきものがない。
そこで、小説を読んで時間を潰そうと思ったら、読書灯が壊れている。
時差の関係で眠くもならず、羽田までが非常に長かった。
せっかくのプレミアム・エコノミーなのに、快適な空の旅とはいかなかった。
 
 
ホルヘがアルゼンチンに戻るのは3月末。
それまでブエノスのマンションは空き家となる。
そんな中、テベスとJリーグ初代得点王のラモン・ディアスが空き巣に入られたというニュースが伝わってきた。
テベスは隣国ウルグアイで、4日間に渡る結婚披露宴を行っていたが、その間に自宅を荒らされた。
その直後、今度はラモン・ディアスが被害にあったという。
彼はサウジアラビアのアル・ヒラルの監督だが、シーズンオフでアルゼンチンに戻ってくると、自宅の現金や宝石類がごっそり盗まれていた。
アルゼンチンの治安は日々悪化している。
ホルヘの留守宅もどうなることか。
テベスは今回の件で被害届を出さなかったが、噂されているように来季から中国の上海へ移籍すると、その留守中、味をしめた空き巣にまた狙われるかもしれない。


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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