3月23日にW杯南米予選の首位決戦ウルグアイ対ブラジルがある。
この試合の数日前にアルゼンチンに戻り、家でゆっくりしてからラプラタ河を渡ろうと考えていたのだが、例の痔の手術の影響で出発が遅れることになった。
長時間の飛行機移動は患部に負担がかかるため、医者はできるだけ遅くしろという。
まだ回復途中なので、場合によってはドクターストップの可能性もある。
そんな状況の中でエアーチケットを探したら、これが結構大変だった。
 
 
格安航空券のネット販売には、東京・ブエノスアイレスの往復が13万円台からある。
しかしこれは期間が1か月とか2か月の短いもので、購入後は日付の変更ができないタイプ。
復路便までの期間が長く、変更可能なチケットは高くなる。
しかも今回はドクターストップのことも考え、往路と復路両方が変更可能というチケットが必要。
HISのネット販売では、アエロメヒコが約20万円で最安値だった。
しかしメキシコでの乗り換え時間が20時間もある。
さらにネットでは変更可能かどうかがわからないので、HISのオフィスへ出向いた。
過去に経験したのだが、オフィスに行くとネットより安いチケットを入手できることもあるのだ。
しかし今回は外れで、変更の条件に適合し、ホルヘの希望であるアメリカ経由の最安値は、アメリカン航空の約36万円。
想像より、はるかに高かった。
 
 
そこで、今度はアメリカン航空の予約ページにアクセスしてみた。
エコノミーの正規料金は、片道で約60万円とバカ高い。
しかし、片道が10万円前後(搭乗日によって価格が違う)のものもあり、それで往復を手配すればHISより10万円ほど安くなる。
日付の変更には2万円強のペナルティーが必要ながら、往復の2回払ってもまだ得だ。
というわけで、アメリカン航空から直に購入した。
ケースバイケースで、航空会社のほうが格安チケット会社より安いこともある。
これは意外な盲点だと思う。
 
 
痔の手術の影響は渡航だけにとどまらない。
行きつけの呑み屋が主催するマラソン大会への出場もかなわなかった。
手術前の説明では、術後2週間から軽めの運動が可能で、さらに1週間後から普通に行えるとのことだった。
しかし回復が遅いのか、あるいは手術範囲が広かったせいか、ゆっくりしたジョギングができるようになったのは術後3週間過ぎてからだった。
この段階で、本気での参戦はあきらめ、リハビリとして出場することに切り替えた。
ところが日を経るにしたがって、走るどころか歩くのにも支障が出てきた。
手術跡が悪化したのではない、毛が生えたのだ。
手術前日、肛門周辺の毛を剃られた。
それが伸びてきて、動くたびにチクチクと肌を刺す。
これが続くと、猛烈に痒くなる。
500メートルも歩けば、尻をかかずにはいられない。
手術跡である肛門周辺なので、そこを傷つけないように、立ち止まって慎重にかく。
こんな状況では、とてもランニングなどできない。
 
 
アルゼンチンにいるときは、「日本へ戻ったら、あれもやりたい、これもやりたい」と考えていたが、手術、入院、自宅療養により思うように運ばなかった。
そんな中、希望を達成できたのが“角打ち”だ。
角打ちとは、酒屋で吞むこと。
ホルヘが子供のころは、酒屋で呑んでいる大人がたくさんいた。
酒屋にカウンターもどきの呑めるスペースがあり、酒をグラス売りするなど呑み屋のようになっていた。
それが規制されたかなにかで姿を消していたのだが、最近、また何件か出現したという。
これは、吞兵衛のホルヘとしたら行かねばならぬ。
 
 
中央線の阿佐ヶ谷駅南口からパールセンター(アーケード商店街)を5分ほど歩いた左側の三ツ矢酒店。
この店の奥の通路を進むと、「裏の部屋」と呼ばれる別室がある。
ここが、角打ちの場所。
酒はすべて店で買い、そのつどレジで支払う。
グラス売りの日本酒が数種類用意されているが、その他の銘柄を瓶で購入して裏の部屋で呑んでもいい。
ただし、300~500円の持ち込み料が必要。
ビールとワインも持ち込めるが、焼酎や洋酒はダメだという。
氷や水が必要で面倒なのかもしれない。
つまみは僅かだが、週2回、出張板前が寿司や刺身を提供するそうだ。
ホルヘが行ったのは早い時間で、他に客はおらず。
しかしテレビがあり、お一人様でも問題なし。
何か想像していたのとは違ったが、とりあえず角打ちデビューを果たすことができた。
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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