自民党の総裁選は無投票ですんなりと安倍総理が再選されたが、
 
アルゼンチンサッカー協会の会長選びは混戦の面白い展開となりそうだ。
 
アルゼンチン協会の会長といえば、1979年から昨年の6月に亡くなるまで、
 
なんと35年間もその座に君臨していた妖怪グロンドーナが思い出される。
 
しかし、彼はいいときに死んだものだ。
 
もし生きていれば、例のFIFA汚職で間違いなく逮捕されていた。
 
FBIの報告書には、グロンドーナという名前こそないものの、
 
「アルゼンチン協会の会長が巨額の賄賂を受け取った」という証言が記載されていた。
 
 
 
グロンドーナ死亡後は、副会長だったセグーラが会長に昇格。
 
もちろんセグーラは、グロンドーナの側近だった。
 
FIFA汚職事件に端を発し、アルゼンチンのマスコミはグロンドーナの罪を暴こうとし、
 
その結果、審判を買収しての八百長疑惑が浮上。
 
これで、「協会は腐っている」という声が高まった。
 
 
 
今年10月の会長選挙は、セグーラの当選か、彼が仲間にその座を譲るかのどちらかが予想されていた。
 
いずれにせよ、協会の体質は旧態依然のまま。
 
そこで登場したのが、日本でいう、さんまかタモリといったところの大物司会者ティネリ。
 
彼は凄腕プロデューサーでもあり、彼が出演・制作する番組は、
 
アルゼンチンのみならずラテンアメリカ諸国で人気を博している。
 
 
 
ティネリは大のサンロレンソファンで、ソシオの多くは彼がクラブの会長になることを強く望んでいた。
 
「ドロドロしたクラブ経営には携わりたくない」と会長職に興味を示していなかった彼だが、
 
前回選挙で盟友のランメンスを会長候補とし、自らは副会長候補としてペアを組んで立候補。
 
8割を超す投票を得て当選した。
 
そして、昨年はクラブ史上初となるコパ・リベルタドーレス優勝を果たすなど、ティネリ効果は明確に表れている。
 
 
 
その彼が、協会の改革を掲げて会長選挙への出馬を表明した。
 
当初、協会幹部らは、この動きを門前払いにしようとした。
 
ティネリはサンロレンソの副会長になって4年を経ておらず、協会の会長選に出馬する資格がないのだ。
 
セグーラ会長も、ことあるごとに、「彼には資格がないはずだ」とコメントしていた。
 
しかしティネリ人気はすさまじく、協会のこの態度に世論は猛反発。
 
「選挙規約を変えろ」との声も起った。
 
 
 
そこで協会は、一転して方向転換。
 
ティネリが資格を満たすよう、選挙を来年2月に延期。
 
さらに第三副会長という役職を新設し、その座にティネリを迎え入れた。
 
これは、懐柔策だろう。
 
ティネリもそれは十分承知しており、そのうえで副会長として財務問題などの調査を始め、
 
マスコミをうまく利用して世論をリード。
 
さらにセグーラには、立候補しないように働きかけている。
 
 
 
もちろんセグーラは引かず、来年2月には両者が激突する見込み。
 
「ビッグクラブを中心に、ティネリ支持はすでに半数を超えた」、という噂もあるが、
 
「それはティネリ陣営を油断させるためのもので、協会の体質は簡単には変わらない」という声もある。
 
 
 
グロンドーナを織田信長とすれば、その後を継いだセグーラは寵臣の豊臣秀吉。
 
そして、2月の選挙は関ヶ原の戦いだ。
 
はたしてティネリは家康になれるのだろうか。
 
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About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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