昨年8月、韓国最大手で世界8位のシェアを誇っていた韓進(ハンジン)海運が破たんした。
この会社が危ないという情報は業界では知れ渡っていたようで、ホルヘのアミーゴでアルゼンチンの水産物会社の社長によると、商品を輸出する際に取引先から、「韓進を使うな。もし使ったら、商品代は支払わない」との通告をいくつも受けていたそうだ。
実際に破たん後は韓進海運の船舶が多くの港で入港を拒否され、貨物が海上で止まってしまい大きな混乱をきたした。
事前に危険を察知した会社はこのトラブルから免れたわけだが、「韓進を使うな」という動きが破たんを決定づけたともいえる。
 
 
世界中がネットワークされている現在、国際物流を担う海運会社は儲かっているのかと思っていたが、実際はかなり厳しい状況らしい。
過当競争によるダンピング合戦や、目先の売り上げを重視して契約を取ったものの帰り便の貨物が集まらないなどで赤字を出している。
日本の三大海運会社である日本郵船、商船三井、川崎汽船は、この苦境に対応するため、今年7月にコンテナ事業部門で合弁することになった。
 
 
上記3社はアルゼンチンでも事業を展開している。
以前は支社があったそうだが、現在は現地の代理店が業務を行っている。
日本郵船の代理店は、ムルティマールという会社。
毎年11月に、ムルティマールは取引先を招いてゴルフコンペを開催する。
大会は4人1組の団体戦で、先に記した水産会社社長がムルティマールの顧客なので招待され、ホルヘもメンバーとして毎回参加している。
 
 
この大会の目玉は、競技後のプレゼント抽選会。
軽食とワインを楽しみながら、自分に賞品が当たるかどうかを期待しながら見守る。
ホルヘは前回(2015年)のコンペでは、この目玉に参加できなかった。
前日に行われる予定だったW杯予選のアルゼンチン対ブラジルが豪雨により翌日に延期。
ホルヘはゴルフ場に撮影機材を持っていき、プレー終了後にゴルフバッグを知人に託し、そのままスタジアムへ向かった。
 
 
ホルヘは抽選とかの運がないほうで、今年の新年会では、スマホを持っていないのにスマホのバッテリーチャージャーと、ダムの写真集というまったく興味のないものが当たった。
しかし前回欠席の無念を神様が憐れんでくれたのか、今回の抽選会では、キャロウェイのサンドウェッジという1等賞をゲット。
なんと素晴らしいコンペであろうか。
 
 
しかしこの恒例行事も、3社の合併で今後どうなるかわからない。
商船三井と川崎汽船の代理店も顧客相手に何かしらのイベントはやっているらしいが、ゴルフコンペは主催していない。
合弁すれば、代理店も一つに絞られるはず。
それにムルティマールが選ばれなければ、コンペは開催されなくなり、毎年これを楽しみにしている人々をがっかりさせる。
海運不況は、こんなところにまで波及しているのだ。
 
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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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