先週ご紹介したJFL入れ替え戦に行ってきました。
会場は栃木市総合運動公園陸上競技場。
池袋から少しリッチ感漂う“特急スペーシアきぬがわ”に乗って、
のどかな車窓を横目で見ながら約1時間。
決戦の地は栃木市内の中心に近い、静かな場所にありました。
栃木ウーヴァFCとノルブリッツ北海道の一戦。
同じ会場で行われた先週の第1戦に敗れた栃木ウーヴァは
レギュレーション上、引き分けも許されない状況に。
かなり追い込まれた精神状態でこの日を迎えていたはずです。
スタンドはキックオフ30分くらい前からほぼ満席。
クラブグッズもモノによっては売り切れに。
栃木ウーヴァサポーター、ノルブリッツ北海道サポーター、
そして大多数を占めていたであろう
栃木ウーヴァ寄りのサッカージャンキーたち。
熱量の高い雰囲気の中、運命の90分間が幕を開けました。
前半から、攻める栃木ウーヴァ、守るノルブリッツ北海道という構図。
栃木ウーヴァは愛媛FCなどで活躍した濱岡和久を中心に、
何度もゴールへ迫りますが、先制点までは奪えず。
ノルブリッツ北海道も粘り強い守備で相手の猛攻を凌ぎ続けます。
後半も構図はそのまま。
ただ、前半終盤に投入された栃木SCや大宮アルディージャ、愛媛FCなど
Jリーグでのプレー経験を持つエースの長身FW若林学に
ボールが集まり始め、チャンスも増加していきます。
すると62分に若林のポストプレーが相手DFのハンドを誘い、PK獲得。
これを濱岡がキッチリ沈め、2戦合計のスコアはタイに戻りました。
以降も栃木ウーヴァが攻め続けるも、ことごとく得点は入りません。
ノルブリッツ北海道も奇跡的なクリアが何本も飛び出すなど、
JFL昇格へ懸ける執念を表出。
もつれ込んだ延長戦でも決着は付かず、
両者が来シーズン戦うステージは、PK戦に委ねられます。
1人目がクロスバーに当て、
3人目がGKにストップされたノルブリッツ北海道に対して、
3人目までは全員が成功した栃木ウーヴァ。
4人目のキッカーに指名された安間ム月のシュートが
ゴールネットを揺らし、幕が下りた120分間プラスアルファの大熱戦。
結局、栃木ウーヴァが残留を決める結果になったわけです。
勝ったチームも涙、負けたチームも涙というゲームは
特に社会人のカテゴリーにおいて
それほど頻繁にあるわけではないでしょう。
それでも、このゲームは間違いなくそういうゲームだったと
私は試合後の両チームを見ていて思いました。
代表、監督、キャプテンの挨拶が終わると、
ピッチには栃木ウーヴァを応援するサポーターや
選手の家族も降りてきて、大写真撮影大会。
そこかしこから「良かったねえ」という声が聞こえてきました。
やはりどんなカテゴリーでも
“降格”という現実は受け入れ難いものでしょうから、
選手も含めた彼ら栃木ウーヴァファミリーの、
まさに「安堵の表情」と表現したくなるような笑顔が忘れられません。
何かまた1つサッカーの面白さと難しさを学んだような気がした、
そんなJFL入れ替え戦でした。
写真は運命の選手入場です。