復権、その時は今 土屋 雅史 2013年4月19日 土屋雅史 現在、ワールドカップ南米予選で本大会出場圏内の3位に付け、 久々の“世界”が現実味を帯びてきているコロンビア代表。 主力選手は軒並みヨーロッパでプレーしており、 その個々のポテンシャルも含めて、再び世界中の注目を集めています。 コロンビアが世界的に脚光を浴びるキッカケになったのは、 ベスト16進出を果たした1990年のイタリアワールドカップ。 いまだにライオンヘアーと正確なインサイドキックが記憶に刻まれている 異能のファンタジスタ、カルロス・バルデラマと、 バックパスがまだ許されていた時代に華麗な足技を誇り、 ゴールキーパーながら積極的にエリア外へ飛び出していくなど 時代を先取りしていたレネ・イギータという2人のスターを擁し、 その脇をフレディ・リンコン、アンドレス・エスコバル、ベルナルド・レディンなど 実力者が固めるメンバー構成で、魅力的なパスサッカーを披露。 最後はカメルーンに延長で屈しましたが、 そのスタイルは大いに世界が認める所となりました。 4年後、アメリカ。 南米予選でアルゼンチンを5-0という衝撃的な大差で下すなど、 一躍優勝候補に挙げられる中でワールドカップを迎えたコロンビア。 ところが、初戦でルーマニアに1-3と敗れると、 続く開催国のアメリカ戦も1-2で敗戦。 国民の期待を裏切り、グループリーグ敗退となった大会後には エスコバルが射殺されるという痛ましい事件も。 1998年のフランスワールドカップにも出場したものの、 またもグループリーグで姿を消すと、 以降はすっかり表舞台から遠ざかることになってしまいます。 そんなコロンビアに彗星の如く現れたストライカーが アトレティコ・マドリーでゴールを量産しているファルカオ・ガルシア。 ディエゴ・シメオネ監督の下、アルゼンチンのリーベル・プレートで 頭角を現わすと、初めての欧州上陸となったポルトでも 加入初年度の2009-10シーズンにいきなりリーグ戦25ゴールで 得点ランク2位に入る大活躍。 翌シーズンはヨーロッパリーグでの10試合11ゴールという 驚異的な得点率で欧州制覇に貢献し、 その数字を引っさげて加入したアトレティコでも 加入した2011-12シーズンから順調にゴールを積み重ね、 個人でのヨーロッパリーグ2シーズン連続得点王と連覇を経験。 リーグ戦でもメッシとロナウドに次いで得点ランク3位に輝き、 一躍トップストライカーの仲間入りを果たしました。 他にも長友佑都のチームメイトに当たるインテルのフレディ・グアリン、 ミランでもレギュラーポジションを掴んだ感のあるクリスティアン・サパタ、 ポルトでリーグ得点ランクトップを独走するジャクソン・マルティネス、 そしてウディネーゼで結果を出し始めている弱冠22歳のルイス・ムリエルなど、 ヨーロッパでも注目銘柄として名前が挙がるような 逸材が現代表にはずらりと顔を揃えており、 国民も久々のワールドカップ出場を熱望しているのは間違いありません。 南米予選では6試合を残して、 前述したように勝ち点19の3位に付けているコロンビア。 次のゲームは首位アルゼンチンとのアウェイゲーム。 この一戦は単なる予選の1試合ではなく、 コロンビアにとっては国の威信を懸けた重要なゲームになるでしょう。 コロンブスからその名を授かった南米の雄。 雌伏の時を経て、再び世界という名の大海原へ打って出る準備は整いました。 写真は僕のコレクションシリーズ、98年W杯のステッカーです。 Tweet