久しぶりに、そして2週続けて客人を家に招いて料理の腕をふるった。
いずれも名目は送別会だが。
目的は集まって酒を呑もうということで、ようするに居酒屋ホルヘが開店したということだ。
初めの週は女性のタンゴダンサーで、7月に行われたタンゴフェスティバルでは決勝に進出した。
他にもタンゴ修業中の女性2名がやって来た。
翌日が「春の日」ということで、ご飯はちらし寿司にした。
ニンジン、シイタケ、油揚げ、カンピョウ、カニ缶、紅ショウガ、錦糸玉子、海苔とトッピングを入れれば八目寿司。
なかなかの豪華版だ。
余談だが、アルゼンチンの春の日は休日ではない。
しかし、みんなが「今日から春だ」という思いを持ち、家族や友人で集まってお祝いをする習慣がある。
また同時に「学生の日」でもあり、学校は休み。
このため多くの学生が前夜から羽目を外し、1年の中で、バージン喪失率が最も高い日だといわれている。
料理は他に、チンジャオロースー、鶏の照り焼き、手羽と大根の煮物、大豆入りヒジキの煮物、
ホウレン草のゴマ和え、サラダ2種類。
鍋やコンロの数が限られるため、大豆は前日に仕込むなど、かなり手間が掛かった。
お世辞を差し引いても、かなり評判はよかったと思う。
しかし、チンジャオロースーは似ていて非なるものだった。
アルゼンチンでは、普通の肉屋やスーパーでは薄切り肉が手に入らない。
ブロック肉を凍らせて薄く切る方法もあるが、今回は比較的薄切り(約1㎝)の肉を買ってきて、
それを叩いてから切った。
またピーマンは日本のものの5倍ほど大きく肉厚。
チンジャオロースーの「スー」は「糸」という意味で食材の細さを表わしているのに、
ホルヘの肉とピーマンは、マックのポテトフライより太くなってしまった。
翌週は、サッカーコーチの研修者。
この日は料理人をきどり、白衣を着用。
井の頭線浜田山駅ホーム際にある、居酒屋「風姿」のマスターからもらったものだ。
メニューは炊き込みご飯、キンピラゴボウ、肉じゃが、ナス炒め、スパゲティナポリタン、鶏の冷製、マーボー豆腐。
アルゼンチンでは薄切り肉同様、豚の挽肉も入手困難。
牛と鶏の挽肉はあるが、豚肉を売っている肉屋でも豚挽肉はない。
頼んでも挽いてくれない店がほとんど。そこで今回のマーボー豆腐は鶏挽肉を使用した。
好評だったのは、鶏の冷製。
鶏肉も骨付きで売られているので、それを丸ごと茹でて、冷蔵庫で冷やしてからバラした。
それに、醤油、酢、砂糖、ゴマ油とネギを混ぜたソースをかけるだけ。
しかも茹で汁に出汁とコラーゲンが出るので、表面の油を取り、それで炊き込みご飯を炊いた。
一応、料理好きなので、たまに誰かを招いてこんなことがしたくなる。
しかし、2週続くときつい。しばらくは、客人の顔など見たくない。