「この世界にはまだまだ知らないことがある」
当然ではあるものの、なかなかそういう事実を改めて実感することは
大人になると少なくなってくるのかもしれません。
東京都クラブユースU-17サッカー選手権。
東京のクラブユース連盟に所属する14のクラブが参加し、
10月の1次リーグを勝ち抜いたチームが
1月中旬からスタートする決勝リーグへ駒を進めます。
大会自体は確か4年ほど前から実際に取材していたものの、
対象となっていたのはFC東京U-18や
東京ヴェルディユースといったJクラブユース勢。
あるいは三菱養和SCユースや横河武蔵野FCユースといった
いわゆる強豪にカテゴライズされる街クラブ。
それ以外のチームはあまりよく知らなかったというのが正直な所です。
とあるキッカケで今年は決勝リーグに参加した
全8チームを取材することができました。
例えば東京ヴェルディユースや三菱養和SCユースは
高校年代最高峰の高円宮杯プレミアリーグEASTに所属しています。
例えば杉並アヤックスというチームは
今年は地区リーグ2部で戦っていたそうで、
両者の間には実に6つものカテゴリーが存在しているのです。
そんなチーム同士が激突するこの舞台は
さながら天皇杯のようなロマンも併せ持ち、
カテゴリーが下のチームからすれば
「強いチームと戦えるだけで経験になる」というような
感覚なのかなあと勝手に思っていました。
そんなこと、全然ないんです。
プリンス関東に所属しているFC東京U-18を相手に、
終了間際の決勝ゴールで敗れたものの、1-2というスコアも含めて、
傍から見たら大健闘したように見えたFC町田ゼルビアユース。
ところが、試合後にお話を伺った竹中穣監督は
「スコアだけが収穫かなと。内容は散々というか、
どっちかというとネガティブな捉え方しかしていない」とバッサリ。
ただ、これって本気で勝ちに行っていたからこその本音ですよね。
FC東京U-18相手に1-4、東京ヴェルディユース相手に2-5。
東京高校年代のピラミッドにおいては頂点に君臨し続けている
2つのJクラブ相手にゴールを挙げるなど、
今大会で大きな存在感を発揮した杉並ソシオ。
ところが、こちらも西野泰治監督はやや不満そうな様子。
「守備の考え方は変えたけど、攻撃の考え方は全然変えていないので、
相手のフィジカルが高くなったり、相手が強くなったりすると
その攻撃が出せないのは厳しい」とのこと。
相手のレベルを考えて、守備面ではいつもと違って
ブロックを組むようなやり方を選手に与えたものの、
攻撃はいつも通りにやらせたのにできていないと。
コレって目指す所があまりにも明確ですよね。
カテゴリーだけを捉えて、
一見“格上”と“格下”の対戦というイメージを抱きがちなゲームも、
当事者にお話を伺うと、その抱えた志に唸らせられることも多々。
まだまだサッカーの裾野は広いですね。
「この世界にはまだまだ知らないことがある」
東京都クラブユースU-17サッカー選手権。
改めてそのことを体感させてくれた大会でした。
写真はFC町田ゼルビア対杉並ソシオの一コマです。