アルゼンチン対オランダの準決勝が行われたのは、アルゼンチン時間で7月9日の午後5時。
 
7月9日はスペイン語で「ヌエベ・デ・フリオ」といい、
 
世界一道幅が広いといわれるブエノスアイレスの目抜き通りにもこの名が付けられている。
 
7月9日は、アルゼンチンにとって最も重要な祭日、独立記念日なのだ。
 
 
 
あるゴルフ場の話だが、6日の日曜日に予定されていたクラブのコンペが雨で行えず、
 
独立記念日に順延することに決めた。
 
しかしその連絡を受けた会員が猛反発。
 
大事な試合と同じ日では困る、というのだ。
 
試合は夕方の5時からなので十分間に合うが、こちらの人の多くは仲間が集まって
 
ワイワイいいながら観ることを好む。
 
それがW杯の準決勝でしかも休日となればこれはもうイベントで、
 
昼過ぎからアサード(アルゼンチン風焼き肉)で盛り上がって観戦に突入する。
 
だからゴルフなどやっていられない。
 
そこでやむなく、コンペをさらに延期したそうだ。
 
 
 
W杯開幕前、アルゼンチンでは「決勝戦まで行く」という予想が一番多かった。
 
もちろん「優勝する」というイケイケのファンもたくさんいたが、
 
冷静に考えて「決勝まで」という意見がそれを上回っていた。
 
それは、決勝での相手がブラジルで、アウェイでそれに勝つのは難しいという推理からだったようだ。
 
しかし、ブラジルは前日ドイツに大敗。
 
それで一挙に、「もう優勝は決まった」という感じになってしまった。
 
 
 
まだオランダに勝っていないのに、浮かれすぎていないか、と心配になったほどだ。
 
そして案の定、オランダとは120分戦って0-0の引き分け。
 
実はホルヘ、あるメディアに「アルゼンチンの死角」みたいな原稿を以前書いたが、
 
そこに取り上げたのはGKのロメロだった。
 
チョンボが多いし、最近は所属クラブでも出場機会がないことから不安材料に挙げたのだ。
 
しかし、彼が勝利の立役者になってしまった。
 
ホルヘの面目丸つぶれである。
 
 
 
4人目のマキシが成功すれば勝利という場面では、蹴る前から”祝砲“の花火があちこちで打ち上げられた。
 
オランダに勝つのは当然、と思っていたとはいえ、苦しんだ末の24年ぶりの決勝進出なので喜びはひとしお。
 
おめでたいことがあると人が集まるブエノスの象徴オベリスコは、ヌエベ・デ・フリオ大通りに立っている。
 
そして今日は正にヌエベ・デ・フリオ。
 
試合終了と同時に、オベリスコは群衆で賑わった。


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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