大使館から電話があり、衆議院議員選挙の在外投票の係員になってくれないかと言われ、
 
暇だし小遣い稼ぎにもなるので引き受けることにした。
 
一昨年の衆議院選挙も手伝い、その折に「次回の選挙でもお願いします」と頼まれていた。
 
そこで、昨年の参議院選挙でも声がかかるかと待っていたが、何の音沙汰もなし。
 
そのときは、「らぷらた報知」という日系新聞で、選挙係員を公募していた。
 
参議院の場合は選挙の日程が早くから分かっているので、十分な準備期間がある。
 
しかし衆議院の解散選挙は突然行われるため、公募する時間的余裕がないらしい。
 
 
 
前回ホルヘが行ったのは投票に関する作業だけだった。
 
しかし今回は、ダイレクトメールの作成もお願いしたいと言われた。
 
これは、有権者に投票日と場所を知らせるためのもの。
 
ちなみに、今回の投票日は12月3~6日で、場所は大使館内。
 
 
 
アルゼンチンは郵便事情が悪く、地方宛てのものは時間がかかる。
 
前回の選挙では、投票日がとっくに終わってからダイレクトメールが届くというケースが多々あった。
 
今回は同じ轍を踏むまいと、11月の19、20の両日に行うとのこと。
 
ところが、これが一転して延期になった。
 
理由は、閣議決定がなされていないから。
 
衆議院の解散はすでに決まっていたが、正式に閣議決定したのは21日のこと。
 
なんでも閣議決定するまでは在外投票のために予算が使えず、我々へのバイト代が払えないのだという。
 
そこで、週明けの25,26日に行うこととなった(24日の月曜日は祝日)。
 
 
 
ところがその後再び連絡があり、ダイレクトメールの発送は中止になったと告げられた。
 
大部分が投票日までに届かないのなら、送っても意味がないという判断だろう。
 
しかし25日になって、「やっぱり送ります。明日から2日間来てくれますか」との電話。
 
たとえ届かなくても、大使館としてはやるだけのことはやる、ということに落ち着いたらしい。
 
中止と聞いて、26日の午後に取材を組んでしまった。
 
そこで、26日は午前だけということで作業を引き受けた。
 
 
 
作成作業は、日本語とスペイン語それぞれの案内文を折り、封筒に詰めて封をして、宛名ラベルを貼るというもの。
 
案内文には、「12月3日から6日まで、衆議院議員選挙の投票が行われる予定です」と書かれてある。
 
行うのが決まっているのに、「予定です」とはいかなることか。
 
理由を訊くと、まだ選挙の公示がされていないからだという。
 
公示前に、「行います」と断言できないのだとか。
 
役所関係は、いろいろとややこしい。
 
 
 
ダイレクトメールの数はおよそ3000通。
 
これを5人で行う。単純作業ではあるが、どの程度のペースでやればいいのかさっぱり分からない。
 
しかし、仕事が終わらず残業なんてことになるのは嫌なので、全員がスタートからフルスロットル。
 
ホルヘが帰った午後には交代要員が来て、これまた一生懸命やったそうだ。
 
2日目の10時半頃、大使館の担当職員が覗きに来て、「だいぶ進んでますね。午前中で終わりそうですか」と訊いてきた。
 
これに対しホルヘは、「とんでもない」と答えた。
 
残業の心配はないが、さすがに午前中で終了するとは思えなかったのだ。
 
しかし、大使館の午前とは13時まで。
 
慣例で12時までと思っていたことで1時間の差があったうえ、作業に慣れた2日目はさらにペースが上がり、
 
本当に午前中で終わりそうになった。
 
これはマズイ。
 
午前中で終われば午後はお役御免だ。
 
そうなると、バイト代が半分になる。
 
そこで、「できるだけゆっくりやろう。封筒1枚に1分かけよう」などと声をかけ、
 
順法闘争のような非効率的作業を行い、無事に午後へと突入した。


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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