みなさま、明けましておめでとうございます!
すっかりご無沙汰してしまっておりました土屋です。
実はこの1ヶ月で現場取材29試合というまさに1日1試合ペースで各会場に赴く日々も
ようやく一段落しましたので、これからまたお付き合い頂ければと思います。
まあ、一口に29試合と言ってもカテゴリーから何からまったく違う試合たちだったのですが、
そのすべてで数多くのモノを得ることができました。
そんな中から色々なことをご紹介していこうと思っている中で、
やはり今回は高校選手権における前橋育英の準決勝突破というトピックスに触れたいと思います。
77回大会の準決勝で小久保悟(元山形)、松下裕樹(群馬)、佐藤正美(元草津ほか)
岩丸史也(元群馬ほか)、茂原岳人(元甲府ほか)など、後のJリーガー5人を擁しながら
帝京とのシーソーゲームに2-3で競り負けたのが1回目。
翌78回大会では松下、佐藤、岩丸、茂原に加え、現在も鹿島でプレーしている青木剛を擁したチームも、
やはり7人のJリーガーを揃えた市立船橋に準決勝でPK負け。
さらに、坪内秀介(磐田)、相川進也(元札幌ほか)、佐田聡太郎(元群馬ほか)など、
Jリーグ内定選手を6人も抱えるチームで臨んだ80回大会も、
片桐淳至(元甲府ほか)に1ゴール1アシストを許して岐阜工業の前に準決勝敗退。
87回大会も六平光成(清水)や皆川佑介(広島)が
メンバーに名を連ねる優勝候補として大会に挑みましたが、
結果は大会史上初めて埼玉スタジアム2002で行われた準決勝で
大迫勇也率いる鹿児島城西に2点をリードしながら逆転負けを喫し、
4度までも決勝への道を目前で閉ざされてきた前橋育英。
もはやファイナル進出が悲願となっていたのは、
上記の結果を見るだけでもおわかり頂けるかと思います。
そして迎えた5度目のチャンスが今大会。
2回戦の初芝橋本戦は1-0、3回戦の山梨学院大附属戦はPK勝ちと
苦しいゲームを何とか勝ち上がると、準々決勝では2年連続で国立にピッチに立った京都橘を
4-0と粉砕して6年ぶりにベスト4の舞台へ。
実は群馬県勢としても40回大会の新島学園、67回大会と68回大会の前橋商業が
超えられなかったのがこのベストの壁であり、
県勢にとっても初のファイナルを懸けた重要な一戦でした。
相手は同じ関東の流通経済大柏。
両者は4年前の3回戦でも対戦しており、その時は流通経済大柏が前橋育英にPK戦の末に勝利。
返り討ちか、リベンジかに注目の集まる好カードだったことは
26309人という大観衆の数が証明していたと思います。
試合は4年前同様に流通経済大柏が先制すると、そのままゲームは終盤へ。
前橋育英はチャンスらしいチャンスも創れず、
過去4度の準決勝敗退をすべてベンチで経験してきた山田耕介監督も、
「『ああ、今年もこれでやられるんだろうなあ』『何がダメなんだろうな』と思っていた」
と試合後に明かしています。
ただ、諦めなかった今回のタイガー軍団。
試合終了間際の90分。
普段はあまり前に上がってこない鈴木徳真がミドルを打ち切ると、
DFをかすめたボールはわずかに方向を変えながらゴールへ吸い込まれます。
本人も「アレは持ってましたね」と笑ったキャプテンの一撃が飛び出し、
土壇場で追い付いた前橋育英は勢いそのままにPK戦でも5人全員が成功。
初めてベスト4へ進出してから16年の歳月を掛けて、ようやく鬼門突破に成功したのです。
決勝では星稜に延長戦の末に敗れましたが、群馬県勢としても、前橋育英自体としても
新たな歴史を打ち立てた今年の選手たちには大きな拍手を送りたいと思います。
ただ、決勝は本当に残念でした…
写真は悲願を達成した日の埼玉スタジアム2002です。