汚い話なので、食事中の方はご遠慮ください。
南米の多くの場所では、便器にトイレットペーパーを流せない。
紙が粗悪で溶けにくいのと、下水の配管が細いので詰まってしまうのだ。
アルゼンチンやブラジルでも都会は日本と同じだが、地方に行くと流せないことが多い。
ホルヘは一度エクアドルの首都キトのホテルで、トイレットペーパーを詰まらせて
怒られたことがある。
三ツ星クラスだったが、首都のホテルですらこのざまだ。
もっとも、五つ星のホテルは水圧も強く問題なく流れた。
では、流せないのなら使用済みの紙をどうするのか。
答えは簡単。個室内のゴミ箱に捨てるのだ。
このゴミ箱は、蓋のないものがほとんど。
男子トイレの個室というのは、大きい方をするためにある。
そして使用済みのトイレットペーパーとは、お尻を拭いた紙だ。
想像してほしい、その紙がゴミ箱に溜まっている状態を。
マナーとしては、便が見えないよう折りたたみ、さらにそれを新たなペーパーで包むのだが、
マナー違反も多いし、紙が少ない場合は包むことができない。
そうなると、ゴミ箱の中には茶色いものが付いた紙があふれることになる。
ホルヘは胃腸が弱いので、しょっちゅう個室を利用する。
それでも、あのゴミ箱にはなかなか慣れない。
普通のゴミ箱でも嫌悪感があるのに、ボゴタの空港トイレのゴミ箱はとてつもないものだった。
「捨てやすいように」との配慮からなのか、ゴミ箱が右手側の高い位置にある。
便座に座って右を見ると、目の前にゴミ箱の最上部が口を開けている。
とにかく、顔から近いのだ。
なにやら臭いも漂っているような気がする。
その先あるトイレットペーパーを取ろうとすると、さらに顔がゴミ箱に近づく。
落ち着いて用など足せない、最悪のトイレだった。