3月14日から6月14日まで、上野の国立科学博物館で大アマゾン展が開催されている。
 
アルゼンチンへの出発直前、ホルヘも行ってきた。
 
動物園でなく博物館なので、生きたまま展示されているのはピラニアなど数種の魚だけだが、
 
巨大なアナコンダをはじめ多くの動物のはく製がズラリと並んでいるのは壮観だった。
 
 
 
ホルヘは実際のアマゾンへ行ったことがある。
 
もっともエクアドル領の上流域なので、アマゾンと聞いて連想する「大河」とは趣が違う。
 
コカ川とナポ川が合流する地点の街オレジャーナまでプロペラ機で飛び、
 
そこからナポ川をボートで4~5時間進む。
 
途中で日が暮れ真っ暗となり、結構怖かった。
 
 
 
翌日はガイドに連れられジャングルツアー。
 
ガイドは現地に生まれジャングルで育った人間。
 
「あそこに鳥がいる」「あそこに猿がいる」と教えてくれるが、指さす方を見ても全然わからない。
 
都会人の眼は、ジャングルでは全く役に立たないのだった。
 
 
 
しかし、ホルヘは幸運な発見をした。
 
昼食を食べようと、一行の6人が1本の倒木に腰を下ろした。
 
暑い熱帯雨林の中を歩き回ったので、喉が渇き腹もすいている。
 
皆が飲み食いに集中する中、ホルヘはフト後ろを振り向いた。
 
すると、3メートルほどの地上に小アリクイがいるではないか。
 
皆に「静かにするように」とのサインをまず送り、「後ろを見ろ」とゼスチャー。
 
野生動物をこれほど近くで見られることはめったにないと、ガイドも驚いていた。
 
 
 
単身で参加していたホルヘの希望は釣りだった。
 
他の参加者が原住民の村を訪ねるという日、別行動で念願のアマゾンフィッシングに挑んだ。
 
10歳ぐらいの子供が操る、丸太をくり抜いた小さなカヌーに乗り釣り場を目指す。
 
着いたところは、さらに支流の川幅が5メートルもない小川。
 
あわよくば、世界最大の淡水魚ピラルクーや黄金に輝くドラードといった大物を釣ってやろうと意気込んでいたので、
 
このポイントには拍子抜け。
 
しかし子供の説明によると、大きな川では魚が分散してしまうので、小川の方がよく釣れるとのこと。
 
 
 
仕掛けは針と糸だけ。
 
竿もオモリもない。魚の切り身を大きな針に付け、それを放り込むだけ。
 
あとは糸を張って、魚の当たりを待つ。
 
 
 
糸に集中しながら、エサで汚れた指先を川の水で洗っていると、突然何かが指に当たる感覚があった。
 
ピラルクーやドラードのことを考えていたが、ここはアマゾン。
 
ということは、ピラニアがいる。
 
それが指を喰おうとしているのか?思わず悲鳴を上げて腕を持ち上げたが、

指に当たっていたものの正体は、10匹ほどの小魚。
 
人間の角質を食べるドクターフィッシュみたいなものなのか、

エサの香が目当てなのか、指を入れると口でつついてくる。
 
大きさはメダカ程度。
 
こんなことで悲鳴を上げたので、船頭の子供に笑われてしまった。
 
 
 
川底には倒木がたくさんあり、針がこれに引っかかって根掛かりする。
 
すると子供がザブンと水の中に入り、糸を手繰りながら潜っていって針を外してくれる。
 
ピラニアなど、全然気にしていない。
 
しかしピラニアはちゃんといて、ホルヘは白と黒の2種類を釣った。
 
揚げて喰ったら、白は淡白で、黒は筋肉質でどちらも旨かった。
 
 
 
さすがにピラルクーもドラードも釣れなかったが、漁の最後にコルビーナという50センチ以上の大物をゲット。
 
これは、めったに獲れないうえ美味な高級魚だという。
 
右手人差し指に糸をかけて当たりを待っていると、コツコツと来た。
 
そこでグッと合わせると、相手も激しく抵抗。
 
あまりの引きの強さに、指が糸でザックリ切れてしまった。
 
50センチ程度でこれでは、ピラルクーが掛かっていたらどうなったことか。
 
 
 
このアマゾン体験は、もう20年も前のこと。
 
大アマゾン展で当時のことを思い出すとともに、今度はブラジル領の大河域にも行きたくなった。
 
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About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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