ピザの恐怖 ホルヘ三村 2015年5月29日 アルゼンチン, ホルヘ・ミム〜ラ, ライフスタイル 世界的に有名な日本の料理は、寿司かすき焼だと思う。 しかしこれが国民食かといえばさにあらず、ラーメンかカレーだろう。 最近は回転寿司が充実し一部のラーメンが高級化して逆転現象があるものの、 ラーメンとカレーが日本の大衆食代表であることは間違いない。 アルゼンチンの国民食はピザだ。 イタリア系移民が多いのでパスタ文化が根付き、なかでもピザの人気は高い。 他の具が何もなく、モッツァレラチーズだけの真っ白いピザもある。 そば通がもりそばを好むのと同じで、ピザ好きはこれに目がない。 ホルヘもたまに家でピザを焼く。 そのときは、生地から作る。 ピザ生地はどこでもあり、隣のスーパーでも売っている。 しかし一人分には大きすぎるし、生地が厚い。 ホルヘの好みは、薄くてパリッとしたもの。 ア・ラ・ピエドラ(石釜風)と呼ばれるが、この生地を売っているのは見たことがない。 そこで粉を練って生地を作るのだが、さすがピザ大国。 ピザ用の粉を売っている。 イースト菌だか酵母が入っていて、ふっくら仕上がる。 ピザ通でないホルヘは、チーズだけでは味気ないので、 ピーマン、トマト、タマネギ、ハムなど具をたくさん入れる。 すると薄い生地が具の重さに耐えきれず折れ、 具が落ちて服を汚すというのがホルヘピザのあるある。 つい先日、久々にピザが食べたくなった。 食材の買い出しに行く前に、粉は以前の使いかけがあったはずだ、と思い出した。 流しの下の定位置に、それはあった。 半年以上前に開封したものだが、小麦粉は腐ったりしないはずだ。 しかし、イースト菌だか酵母が入っていると話は違うかもしれない。 そこで袋の中を覗いてみると、湿気で固まった様子も異臭もなく、大丈夫そうだ。 しかし、以前の記憶に比べると、やや茶色っぽいような気がする。 そこで、明るい場所で顔を近づけてよく見てみた。 初めは、焦点が定まらないのかと思った。 歳をとると、老眼の影響でこういうことがよくある。 やがて、粉がサラサラ動いているような気がした。 袋を揺すっていないのにおかしいな、と目を凝らすと、1ミリほどの小さな虫が無数に粉の中にいた。 全身、鳥肌。 なんと、おぞましい光景か。 これを書いている今も、また鳥肌が立ってきた。 そういえば、すごく小さいアリのような虫を、キッチンで何度か見かけていた。 気になって砂糖が置いてあるあたりなどを調べたが、異常なし。 そこで、買った野菜に付いていたのだろうと思っていた。 それがまさか、ピザ粉をエサとし巣として繁殖していたとは。 ガサツな性格なので、使いかけの袋をそのまま放置していたためだ。 食品への異物混入については図太い方だと思っている。 ピザの中にアリが何匹か入っていたとしても、さほど驚かないだろう。 しかし今回は、無数の虫がうごめくというビジュアルにやられた。 これから、使いかけの粉は密閉容器に入れることにする。 Tweet