荒れるコパ アメリカ ホルヘ三村 2016年6月23日 コロンビア, ホルヘ・ミム〜ラ ブラジルとウルグアイがグループリーグで姿を消し、準々決勝ではメキシコがチリに0-7で大敗と波乱続きのコパ・アメリカ。 ブラジルはグループリーグ最終戦でペルーと対戦した。 引き分けでもベスト8に勝ち上がれる状況だったが、0-1で敗れてしまった。 ペルーのルイディアスによる決勝ゴールは、明らかなハンド。 腹の高さに来た右からのクロスを、ウエスタンラリアートのように腕を使って押し込んだ。 クロスを上げた位置は、ゴールラインとゴールエリアのラインが交わるあたり。 ルイディアスが合わせた位置は、ゴール至近距離。審判団にとっては不運だった。 クロスが左からであれば、左後方から見ている主審がハンドに気づく。 しかしクロスが右からだったので、ルイディアスの身体がブラインドになってしまった。 副審も、クロスを上げた選手とブラジルDFによって視界を遮られている。 スリを取り締まる刑事と同じで、サッカーの審判も現行犯を目撃しなければ罰を下せない。 ハッキリと反則を視認しなければ、笛が吹けないのだ。 世間ではこのようなケースを「ミスジャッジ」と呼ぶが、実はそうではない。 コンメボルの審判委員会も、審判に非はない、としている。 たびたび起こるこうした問題を解決するには、ビデオ判定しかない。 しかし、こういうことがあるからサッカーは面白いともいえる。 いくら不正なゴールだったとはいえ、ブラジルが得点を挙げていれば敗退はなかったのだから、当然ドゥンガは責任を問われて解任。 彼は五輪監督兼任なので、急ぎ後任を決めなければならなくなった。 選手リストの提出が目前だったからだ。 そして、U-20代表監督のマカリが昇格という形で就任した。 五輪代表には彼の教え子が多いものの、ユース畑一筋のため貫禄不足。 以前のペケルマンのような存在だ。 問題は、ネイマールとよい関係が築けるかどうか。 ネイマールが彼を見下すようなことになると、悲願の五輪制覇はまたも失敗に終わるだろう。 今回のコロンビア代表に、カルドーナという攻撃的MFがいる。 2年前、W杯の敵情視察でコロンビアに行ったとき、「こいつ、いいな」と思った選手だ。 当時はアトレティコ・ナシオナルの所属で、巧みなテクニックと精度の高いミドルシュートでチームを引っ張っていた。 21歳だったが、腹がポコッと出ているようなコミカルな体型。 180センチを超えるので、コロンビア人のテクニシャンとしては大柄といえる。 ホルヘ好みの選手ではあるが、プレーのクセが強い。 間違ってもJリーグにはフィットしないタイプだ。 しかしペケルマンは気に入ったようで、レギュラーとして活躍している。 同じくコロンビア代表に、FWのモレーノが復帰した。 2004年のコパ・アメリカを制したのは、コロンビアのオンセ・カルダス。 彼は、当時そこでデビューしたての若き選手だった。 ホルヘは「トヨタカップ・プレビュー」の取材で、オンセ・カルダスへ乗り込んだ。 地方の小さなクラブのため非常にアットホームで、練習場へのバスに同乗させてくれたり、選手たちと一緒に食事も食べさせてくれた。 ある試合で、モレーノは相手選手の激しいタックルを受けて負傷退場。 その際、派手に泣いていたので、よほどの重症だと思った。 ところが試合後に合うと、普通に歩いている。 心配して損した。「泣き虫」といってからかってやった。 そんな思い出のある選手が、再び代表で頑張っているのは嬉しいものだ。 写真は2年前のカルドーナです。 Tweet