ネーミングライツの波がアルゼンチンにもやってきた。
ボカのアンヘリッチ会長によると外国企業からオファーがあり、前向きに検討しているとのこと。
詳細は明らかにしていないが、一説ではこの企業は中国のHUAWEIで、年間500万ドル~1000万ドルの10年契約が提示されたという。
 
 
ボカのスタジアムといえば、ボンボネーラ。
意味はボンボンを入れる器ということで、ボンボンとは一口サイズのお菓子のこと。
つまり、お菓子箱ということだ。
このスタジアムは狭い敷地に建てたので、スタンドが急角度でまるで箱のよう。
そして、選手たちは皆に愛されるお菓子のような存在。
そんなところからボンボネーラと呼ばれるようになった。
 
 
もっともボンボネーラはニックネームで、正式名称はアルベルト・ホセ・アルマンド・スタジアム。
これは昔の会長の名前だ。
アルゼンチンでは、クラブとゆかりのある人物の名前をスタジアムに冠することが多い。
リーベルのスタジアムも、正式名称は元会長名であるアントニオ・ベスプシオ・リベルティ。
ラシンは、映画にもなったエビータの旦那にして元大統領のフアン・ドミンゴ・ペロン・スタジアム。
ラシンファンのペロンが建設にいろいろと便宜を図ったらしい。
南米で大統領が便宜を図るといえば違法行為が多々あるわけで、そう考えると、このネーミングは汚職の証拠みたいなものだ。
 
 
大昔の会長や政治家の名前ではピンとこないが、アルヘンティノスのスタジアムは、クラブが生んだ不世出の大スターであるディエゴ・アルマンド・マラドーナと名付けられ、W杯予選が行われるコルドバのスタジアムは、1978年W杯優勝の立役者マリオ・アルベルト・ケンペスの名が冠せられている。
しかし一般的に正式名称は使われず、「カンチャ・デ・ベレス」(ベレスのグラウンド)、「カンチャ・デ・サンロレンソ」(サンロレンソのグラウンド)というのが普通だ。
 
 
そんな中、ボカはボンボネーラ、リーベルはモヌメンタル(記念)などいくつかのスタジアムにはニックネームがあり、特にサポーターがこれを好んで使う。
ラシンのスタジアムは建物全体の形が長方形や楕円形でなく円形なので、シリンドロ(シリンダー)が愛称。
コロンのスタジアムでは、全盛期のペレがいたサントスなどのビッグクラブが次々と敗れたため、セメンテリオ・デ・ロス・エレファンテス(象の墓場)という名で呼ばれる。
 
 
ボンボネーラのネーミングライツについてある新聞がサポーターにアンケートを行ったところ、僅差ではあるが半数以上が賛成だった。
「それでお金が入ってくれば、補強して強くなれる」というのが理由。
アルゼンチン人は保守的だし、ボカファンにとってボンボネーラは聖地。
そこに中国が入って来るのだから、大多数が反対するものだとホルヘは思っていた。
しかし考えてみれば、名前が変わるのはアルベルト・ホセ・アルマンドであってボンボネーラではない。
今だって正式名称を無視しているのだから、ファーウェイ・スタジアムになってもボンボネーラと呼び続ければいいのだ。
 
 
そのボンボネーラで、面白い記録というか、ちょっとしたエピソードがあった。
なんとボカはホームのボンボネーラで44週連続して日曜日に無得点。
最後のゴールは一昨シーズンの優勝を決めた得点。
その後オフシーズンとなり、今年2月に昨シーズンがスタート。
しかしコパ・リベルタドーレスとの調整から日曜日に行われたゲームが少なく、44週に渡ってノーゴール・サンデーになってしまった。
しかしついにベルグラーノを3-0で撃破し、久しぶりに日曜日のボンボネーラが歓声に包まれた。
 
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About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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