11月10日と14日に、W杯南米予選第11節と12節が行われた。
第11節、プレーオフ圏外の6位と低迷するアルゼンチンは、アウェイのブラジル戦で0-3の完敗。
パラグアイがホームでペルーに敗れてくれたおかげで7位転落は免れたが、とにかくひどい出来の試合だった。
次節のコロンビアに負けると、本当にやばいこととなる。
こうなると、当然のごとくバウサ監督への批判は高まる。
彼が就任後、代表の成績は1勝2分け2敗。
しかし、実質的に現在のアルゼンチンサッカー界のトップである正常化委員会のペレス委員長は、ブラジル戦の後、「バウサとの契約を尊重する」と明言。
「コロンビアに敗れても続投か」との問いにも、「もちろんだ」と答えた。
 
 
サッカー大国では、成績が悪いとすぐに監督はクビになる、というのが定説だが、アルゼンチンでは必ずしもそうとはいえない。
たとえば代表監督については、長い歴史の中で解任されたのは、2011年のバティスタだけだという。
成績不振でチームを離れる場合、そのほとんどが辞任なのだ。
クラブでは、解任のケースも多々ある。しかし、監督は素直に従って去っていく。
彼らはサッカー界で生き続けなければならないので、契約を盾にゴネたりしない。
辞め際が悪いと、次の話が来なくなるからだ。
 
 
しかしそんな中、ゴネにゴネた監督がいた。
2004~2005年にボカを率いたベニテスだ。
彼は04年のシーズン途中に就任し、12月にはコパ・スダメリカーナに優勝。クラブに国際大会の栄冠をもたらした。
そして翌年はコパ・リベルタドーレスに出場し二冠を目指したが、準々決勝のグアダラハラ戦で、相手選手の顔に唾を吐きかけるという愚行をしてしまう。
CONMEBOLからのペナルティ以外にも、たしか裁判所からも何らかの処分を受けたと記憶している。
この件が元で解任となるのだが、彼は頑として拒否。
それでも新監督が決まると、契約違反だとして違約金の支払いを求めてクラブを訴えた。
あれから10年以上経つが、ベニテスが再びチームを率いることはなかった。
嫌いな監督ではあったが、今何をしているのか気になる。
 
 
ペレスの全面的支持を受けたバウサは、コロンビアとの試合でイグアインに替えてプラットを起用。
彼はブラジルのアトレティコ・ミネイロ所属で、サッカー通以外には知られていない選手。
ニュースや情報番組では、「プラットって誰?」というコーナーを設けたり、彼を知っているかどうかの街頭アンケートを行ったりしていた。
プラットはチームの2得点目をマークしてこの抜擢に応えた。
しかし圧巻はメッシで、先制のFK弾と2アシストの大暴れ。
全得点に絡み多くのメディアから10点満点の評価を受けた。
アルゼンチンはこれでコロンビアと入れ替わって5位に浮上。
次節は来年3月にチリを迎え撃つ。
どうやらその試合は、久々にボンボネーラで行われるようだ。
 
benitez


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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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