ロシアW杯準優勝のクロアチアのベンチには、参加32か国中唯一、女性スタッフが入っていた。
イバ・オリバリという協会職員で、前回の欧州選手権からベンチスタッフとして働いている。
選手たちからは、親しみを込めて「おばちゃん」と呼ばれているそうだ。
 
 
なぜこのようなことを書いたかというと、日本も同じようなことをすればいいのに、と思ったからだ。
国際アムネスティとかの調査によると、女性の社会進出や男女平等についてのランキングで、日本はいつも低い順位だ。
そして、女性の国会議員や大臣、社長が少ないと指摘される。
たしかに、そういう部分はあるのだろう。
しかし、共産主義や社会主義国は政策として何十年も前から女性を“働かせている”わけであって、そうした国とそのまま比較されるのは不公平だと思う。
 
 
ともかく、日本は女性の地位が低いという汚名を着せられてしまっているので、それを晴らす努力は事あるごとにすべきであろう。
W杯というのは、そうしたアピールをするのに効果的な場だ。
次回のカタール大会では、是非、女性スタッフを起用してもらいたい。
「ベンチスタッフも最高のメンバーを揃えるべきだ」という声もあるだろうが、彼女の仕事は主務で、FIFAとの連絡責任者でもあった。
つまり、試合に関わる役目ではない。
お母さん的立場の女性がいれば、試合以外の場面ではチームが和むなどの効果も期待できる。
彼女が幸運の女神になったのは、実際にチームにそのような影響を与えたからかもしれない。
 
 
W杯前に、ニュージーランド協会が、代表選手に支払う報酬を男女同額にすると発表した。
世界初の試みだという。
「やられた」、「先を越された」という思いだった。
裕福な日本協会なら、女子代表への報酬を引き上げても経済的に問題ないだろう。
そもそも、世界一になり国民栄誉賞を受賞したなでしこが、FIFAランキングで40位だ50位だ、60位だといっている男子代表より安いほうが不思議なのだ。
 
 
もっとも、資本主義的立場からすれば、男女に格差があるのは当然のこと。
女子サッカーは儲からないのだ。
女子チームを保有しているJリーグの多くのクラブにとって、女子はかなりの重荷になっている。
協会も第5種(女子)からの収入は当てにしていないので、いつまでもアマチュア相手のような対応をしているのだろう。
 
 
数年前CONMEBOLが、「女子チームを保有しないクラブは、コパ・リベルタドーレスに出場できない」という通達を出した。
一見すると、女子サッカーの発展を目指してのことと思う。
もちろんそれは否定しないが、裏には別の理由がある。
通達当時、新興クラブや弱小クラブの躍進が盛んで、国内リーグ優勝やコパ・リベルタドーレスへの出場を果たしていた。
これが、古豪クラブには面白くない。
そこで、経済基盤の弱いこうしたクラブを排除するため、女子チーム保有という“厳しい”条件を与えたのだ。
 
 
女子チームが重荷なのは、アメリカなど女子リーグが盛んな一部の国を除いて世界共通だ。
しかし、バルセロナほど裕福なクラブになると、女子の赤字など一切気にしない。
そればかりか、クラブの黒字を惜しげもなく使って男女平等を成し遂げた。
現在、アメリカでプレシーズンキャンプとテストマッチを行っているバルセロナは、女子チームと行動をともにしている。
同じ飛行機に乗り、練習場も同じ場所だという。
実に太っ腹である。
 
 
日本協会も、日本の汚名を晴らすため、女子の地位向上の策を考えて世界にアピールしてもらいたい。
 
 
さてアルゼンチンでは、代表監督を巡るゴタゴタがようやく一段落した。
W杯で結果を残せなかったサンパオリ監督は批判の嵐にさらされたものの、何と続投を希望した。
ほぼ1年前、南米予選の途中から就任したサンパオリは、その時点で4年契約を結んだ。
その契約を盾に、代表監督の座に留まろうとしたのだ。
 
 
協会は解雇すると800万ドル以上の違約金を払わなければならないため、話し合いで辞任してもらおうとした。
しかし、サンパオリは受け付けない。
来年まで待てば違約金が一気に下がるので、協会はその道も模索。
近々始まるU-20代表が参加する招待大会の指揮を依頼すると、一度は引き受けたものの結局は拒否。
これまで行動を共にしてきたコーチたちも彼のもとを去った。
そして、やっとのことで辞任を受諾した。
 
 
今後は後任探しだが、国民から支持の高いシメオネやガジャルドらはクラブ優先で可能性なし。
協会のタピア会長は、コロンビアを率いていたペケルマン推し。
監督またはGMとして迎えたい意向だ。
 

 
 
一方、副会長でボカの会長アンヘリッチは、ブラジル大会で準優勝に導いたサベーラを候補にしている。
サベーラは健康を害して長らく療養していたが、現在は回復して現場復帰を目指している。
 

 
 
ともに高齢がネックだが、ゲンを担ぐなら断然ペケルマンだ。
U-20代表監督として、1995年のカタール大会で優勝している。
それからカタールとの縁が生まれ、カタールのW杯誘致では応援団に名を連ねた。
さらに同国のテレビ局アルジャジーラ・スポーツのコメンテーターとして、アジアカップの解説も務めた。
カタールを目指すには、最適な人選だと思う。
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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