福岡で4億円近くが強奪される事件があったが、南米でもこの前の日曜日に、”世紀の泥棒“と呼ばれるほどの大掛かりな盗難事件が起こった。
場所はパラグアイのシウダ・デル・エステ。
ブラジルとの国境に位置し、同国第2の都市だ。
 
 
世紀の泥棒というものの、実際には強盗事件。
30人から50人と推定される武装強盗団が、現金輸送業務を行っている警備会社を深夜襲い、推定4000万ドルを奪った。
手口は計画的かつ荒っぽいもので、まずは警察を妨害するため警備会社に通じる何本もの道を自動車で封鎖してこれに放火。
強盗団は軍用兵器を装備しており、アサルトライフルで警察と銃撃戦を演じた。
この間に現金強奪班は警備会社の建物をロケットランチャーで破壊して内部に侵入。
市街戦さながらの打ち合いは3時間近く続き、路上にはアサルトライフルの薬莢が無数に散らばっていた。
目的を果たした強盗団は、モーターボートで川を渡ってブラジルへ逃走。
火器の差が圧倒的だったため警察は手も足も出なかった。
 
 
しかし翌日、出動していたブラジルの警察が一団を見つけ、銃撃戦の末に3名を射殺し10名を逮捕した。
1985年に軍政から民政へ移行したブラジルだが、当初は市内に重火器が出回り警察が対応できなかったという。
「警察はあてにならない。やはり軍でなければだめだ」という声が国民から起こるように、軍が犯罪組織に武器を横流ししていたという噂もあった。
そうした経緯もあり、ブラジルの警察は重火器を備えた部隊が組織されている。
 
 
先々週は、ホルヘのマンションでも異変があった。
誰かがドアをノックするので答えると、「警察だ」という。警察を名乗る強盗かもしれないので、ドアを開けずに用件を聞くと、「3階の部屋に強盗が入った。まだ建物の中にいるかもしれない。お宅に異常はないか」という。
異常なしと答えると、隣や他の部屋をノックして同じことをいっていた。
しばらくしてから外出すると、マンション入り口に制服警官がいた。
本当に事件があったのだ。
 
 
防犯カメラには犯人らしき男が鉄扉と入口ドアを鍵で開けている様子が映っていたという。
そこで、マンション管理会社が大急ぎでこの二つの錠を取り換えた。
ちなみにアルゼンチンの鍵の主流は、昔ながらの重厚なもの。
日本で「ドラえもんの鍵」と呼ばれているのと似たタイプだ。
しかしドラえもんの鍵はギザギザ部分が片方なのに対し、アルゼンチンの鍵は両側にある。
聞いた話だが、この鍵はサムターン回しなどでは開け難く防犯性が高いという。
さらに、錠前内部のコンビネーションを変えることができ、これを行うことで以前の鍵では開かなくなる。
つまり新品と交換せずコンビネーション変更だけで事が済み、安上がりなのだ。
 
 
時代の遺物のような鍵だが、現代でもその利点は十分通用している。