前節のアルゼンチンリーグはクラシコデー。
ボカ対リーベルのスーペルクラシコをはじめ、すべての試合がクラシコだった。
ホルヘはこの日、インデペンディエンテ対ラシンのアベジャネーダ・クラシコへ行った。
 
 
試合開始1時間以上前に最寄りのバス停に着いたが、途中から警察のコントロールで大渋滞。
5分待って5メートル進むことの繰り返し。
初めのうちはただ陽気に騒いでいたサポーターたちも、試合時間が近づくにつれ怒り出し、あわや将棋倒しになりそうな場面もあった。
 
 
インデとラシンのスタジアムは直線距離で200メートルほど。
ともにコパ・リベルタドーレスを制したビッグクラブが、こんな至近距離ある。
それだけに、両者のライバル意識はものすごい。
インデには18歳のバルコというMFがいる。
彼はU-20代表の選手で、韓国で開催されるW杯メンバーにも選ばれていた。
しかし代表の出発日とクラシコが重なってしまった。
そしてクラブは、「バルコをクラシコに出場させる」と協会に通告。
ひとり遅れての参加にはウベダ代表監督が難色を示したため、結局、バルコはW杯を棒に振ってしまった。
しかし、クラシコ優先は彼も納得してのこと。
それほど、ラシンとの試合は特別なのだ。
 
 
この日ラシンは、アルゼンチン代表と同じ白と水色の縦縞ユニホームでなく、サブの濃紺を着用した。
そのため審判団は黄色のウェアーで身を固めた。
しかし、インデのGKも黄色のシャツ。
このあたりが、いかにも南米らしくいい加減だ。
日本だったら、これはありえない。
審判団かGKが別の色を着用する。
 

 
 
こうなるのは、色の打ち合わせが事前に行われていないなかだろう。
試合直前になって判明し、「まあ、いいか」という感じで流してしまう。
コロンビアやボリビアでは、フィールドプレーヤーのユニホームが相手チームのものと似ていることが試合直前にわかり、さすがにそのままでは試合できないということがあった。
用具係がスタジアム周辺のスポーツ店や路店を回って調達したが、それは粗悪なバッタもの。
おまけに一般人向けのサイズなので、大柄な選手はピチピチのユニホームでプレーしなければならなかった。
あるいは、無地の練習着にスタッフがマジックインキで背番号とスポンサーのロゴを書き入れて急場をしのいだこともある。
すべて、1部リーグの話だ。
 
 
インデのスタジアムは、改築されたリベルタドーレス・デ・アメリカ。
コパ・リベルタドーレス優勝7回という最多記録が自慢なので、この名称となった。
旧スタジアムは照明が非常に暗く、ストロボ撮影をしていた。
そのため、赤目となった選手の不気味な写真が多かった。
ところが途中から、国内リーグは大丈夫だったものの、CONMEBOLの規定により、コパ・リベルタドーレスなどの国際試合ではストロボが禁止になってしまった。
 
 
新スタジアムは照明もバッチリかと期待していたが、これがまたひどい。
照明塔がなく、ホームとバックスタンドの最上段の屋根に電球が横一列に並んでいるだけ。
光は弱いし、上から照らしているので選手の顔が影になりやすく、相変わらずカメラマン泣かせのスタジアムなのだ。
 
 
試合はインデが2-0で勝利。
ちなみに首位のボカはホームでリーベルに1-3で敗れ、1試合少ないリーベルとの勝ち点差は4となった。
 


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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