以前にも書いたが、ブエノスアイレスにヌエバ・カサ・ハポネッサという日本の食材や雑貨を扱っている店がある。
元々はカサ・ハポネッサ(日本の家、日本屋)という小さな店舗だったが、アルゼンチンも日本食ブームでレストランや寿司バーが増えたことで儲かったらしく、大きな店舗へ移転した。
そして、名前の頭に「新しい」を意味する「ヌエバ」をつけたのだ。
 
 
ここの2階にはレストランがある。
食材屋直営の店なので安いという話と、うな丼があるということは聞いていた。
これまで一度も入ったことはなかったが、1か月ほど前にここでランチをごちそうしてもらうことになった。
ちなみにこのレストランは昼間しか営業していない。
 
 
うな丼に興味があったものの、奢ってもらうのに高いものを頼むのは気が引ける。
しかし、パトロンの息子が迷わずうな丼を注文したので、それに乗っかることにした。
値段は、野菜炒めと小鉢が付いたセットが450ペソ。
うな丼単品はたしか370ペソだった。
ペソは相変わらず下落を続けており、現在は1ペソが約4円。
 
 
うな丼というからには丼に入っているのかと思いきや、何やら平らな食器に盛られて出てきた。
そしてどういうわけか、ご飯が器に押し付けられている。
普通に盛ったのではなく、しゃもじか何かでギュッと圧力をかけているようだ。
したがって飯粒は潰れて全体がくっつき、押し寿司のようなご飯になっている。
アルゼンチン人がナイフとフォークで食べやすいようにとの配慮かもしれない。
 
 
肝心のウナギは、硬くて厚くて丸まっている。
日本の安い弁当屋で使われるものに似ているが、それよりも固い。
箸で切るのが大変だ。
中国製の蒲焼を輸入しているはずなので、日本の安い店のものと変わらないと思う。
電子レンジで加熱しすぎているなど、調理方法に問題がありそうだ。
 
 
このときパトロンは、ラーメンセットを食べた。
それを見ていると美味しそうで、「今度はラーメンを食べに来よう」と思った。
そして、昨日行ってきた。
ラーメンは醤油、味噌、とんこつなど数種があり、値段はセットで310ペソ。
 
 
注文した味噌ラーメンセットが来た。
見た目はなかなか素晴らしい。
しかし、スープを一口啜ってガッカリ。
ぬるいのだ。
暑いスープをフーフーする文化がないので、飲みやすい温度が好まれるのかもしれない。
味噌ラーメンなのになぜか紅ショウガが入っていたのもご愛敬。
小鉢は春雨サラダとキンピラゴボウに茶飯。
麺類の付け合わせに春雨というセンスも面白い。
ゴボウは老人食のように柔らかかったが、そうでもしなければアルゼンチン人は食べられないのかもしれない。
太平洋戦争中、英軍の捕虜にゴボウを食べさせたら、戦後の裁判で、「木の根っこを食べさえられた」と捕虜虐待問題になったという話を聞いたことがある。
 
 
ラーメンを食べ終わったと、「何で来てしまったんだろう」と自問した。
「今度はラーメンを食べに来よう」と思ったのだから、ここに来ること自体は問題ない。
しかし、よりによって、なぜ今なのか。
実は、6日にこちらを発って日本へ戻ることになっている。
5日後には日本にいて、本物を食べることができるのだ。
それなのに、何で来てしまったんだろう。
 
 
日本は猛暑ならぬ酷暑とのこと。
アルゼンチンは冬真っ盛り。
「南米は暑いんでしょ」とよく訊かれるが、アルゼンチンの南端は南極に近いのだ。
そこからかなり上ったブエノスアイレスでも冬はしっかり寒い。
先日も南極寒波が来て、明け方は氷点下近くになった。
 
 
この状態から、35度だ、6度だ、7度だ、40度だといっている日本に行くのは、正直言って怖い。
先天的に体温調整が下手らしく、昔から夏場は体温が上がり大汗をかく。
水分補給を欠かさなくても、筋肉のけいれん、耳がキーンとなる、あごの蝶番が痛む、あくびがでる、などの熱中症だか水中毒の症状になることがある。
 
 
日本に着いたら、とりあえずウナギを喰って酷暑に備えよう。
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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