京葉線に乗った。
過去にも利用したことはあるが、大昔のことなのでほとんど記憶に残っていない。
東京駅の乗り換えには驚いた。
中央線から京葉線のホームまでの遠いこと。
あれが同じ駅というのには無理がある。
「東京新駅」とか別の名前にすべきであろう。
 
 
なぜ京葉線に乗ったかというと、海浜幕張駅にあるZOZOパークを訪れたため。
ここは本田圭佑系のサッカークラブSOLTILOのホームで、アルゼンチンで指導者修業を積んだ飯沼君がコーチとして働いている。
彼はクーバー・コーチング・サッカースクールに就職後、単身アルゼンチンへ渡った。
ゴールキーパースクールの無給アシスタントを皮切りに、最終的にはラヌースの正式コーチとなった。
それまでは労働ビザのない闇バイトだったが、ビザ取得の手続きもクラブが行ったうえで契約を結んだ。
「海外でコーチ経験あり」という指導者は多いものの、正式に契約したというケースは稀だ。
 
 
契約延長も決まっていたが、SOLTILOからのオファーを受けて帰国を決断。
ジュニアユースの中1担当コーチとして4月から働いている。
ピッチは毛足の長い高品質の人工芝で、クラブハウスも完備。
施設としては申し分ない。
フィジカルコーチといったスタッフも充実しており、ホルヘが訪れた日も、故障者にはフィジカルコーチが付きっ切りでトレーングを行っていた。
まだ新しいクラブなので実績や知名度はないが、プロ指導者の職場環境としては非常に優れている。
彼に限らず、アルゼンチンで知り合った若者がステップアップしていくのを見るのは嬉しいものだ。
 
 
話は変わるが、サッカー界でまた新たな反差別的な出来事があった。
かつてラインズマンといっていたのをアシスタントレフリーに変えたのは、ラインズマンの「マン」が男性であるため、女性の線審を指すのに適さないという理由からだ。
同じく、警告の対象となる非紳士的行為の「紳士」も男性限定の言葉だったため、反スポーツ的行為に改められた。
このように、サッカー界は性差別や男女格差の撲滅には率先して取り組んでいるといえる。
 
 
しかし現在、性差別は男女間だけのものではない。
トランスジェンダーという、これまでほぼ知られていなかった人たちが陽の目を見始めたことで、それに対する差別が生まれた。
 
 
イングランドでトランスジェンダーのレフリーが話題になっている。
46歳のルーシー・クラークがその人。
ニックという男性として生を受け、結婚して子供にも恵まれたが、性同一性障害に悩み自殺まで考えたという。
しかし家族の理解と援助により女性として生まれ変わった。
 
 
ニック時代から審判活動を行っており、アマチュア、セミプロのリーグやユース代表など年間100試合近くを裁いていた。
そのときは、もちろん短髪の男性スタイル。
 
 
しかしイングランド協会はニック改めルーシーを女性審判と認定し、女子リーグのレフリーに起用した。
そのときの姿は、放漫なバストにセミロングヘアーというものだった。
彼女は今後も男子の試合を裁くこともあるが、選手から差別的発言を受けた際は、「黄色か赤のカードで対応する」と釘を刺している。
 
 
また「今は30年前より(社会の環境が)よくなっているが、30年後にはもっと開かれているだろう」とも語っている。
そのうちトランスジェンダーのJリーガーが、なでしこジャパンに選ばれるようなことになるのかもしれない。