コパ・リベルタドーレスの準決勝が23日と24日に行われた。
先の試合がリーベル対グレミオで、翌日がボカ対パルメイラスのともにアルゼンチン対ブラジル対決。
会場は両試合ともブエノスアイレス。
アルゼンチン勢がともに勝ち上がれば決勝はボカ対リーベルのスーペルクラシコとなる。
1960年から行われている同大会だが、わりと最近まで決勝戦が同国対決にならないよう調整されていたため、ファイナルで両者が顔を合わせたことはなかった。
 
 
となるとスーペルクラシコの決勝戦を観たくなるのは人情だが、アルゼンチンのマクリ大統領は、「決勝がスーペルクラシコになるのは望まない」と発言。
その理由は、「もし負ければ、そのクラブは立ち直るのに30年かかる」からだという。
元ボカの会長だったマクリによると、国内リーグでのスーペルクラシコでも非常なプレッシャーを受けるが、コパ・リベルタドレースの決勝ともなればそれが何倍にもなり、選手にもクラブにもよくないとのことだ。
 
 
まさかその言葉に従ったわけではあるまいが、リーベルは0-1でグレミオに敗れた。
前回王者のグレミオは、51分にCKからアンデルソンがヘッドで決めた1点を守り切った。
 
 
一方のボカは2-0の勝利。
故障による長期の離脱から復帰したFWベネデットは77分に投入されると、82分にCKのクロスを頭で合わせ、87分にはミドルシュートを突き刺して衝撃の復活劇を魅せた。
 
 
この試合を観て、「やっぱり、CONMEBOLの大会だな」と思ったことがある。
それは、両チームのユニホームが区別しにくいことだ。
ボカは青、パルメイラスは緑だが、ともに黒っぽい色合いで、ダークブルーとダークグリーン。
ストッキングも同色。
パルメイラスのパンツが白なのが救いで、そうでなければ本当に見づらい。
だと楽に区別できるが、ナイトゲームでごちゃごちゃ動いていると、二つの色が溶け合ったように感じてしまう。
  

 
 
チームカラーにはそれなりの理由と愛着があるので、南米ではメインのユニホームを尊重する。
ところがFIFA的には、見やすさを優先する。
観客やメディア、審判にはFIFAの配慮はありがたいが、観づらい試合というのも南米らしい風情がある。
  
 
だからといって、CONMEBOLが常に旧態依然というわけではない。
この試合の数日前、ARGRA(アルゼンチン報道カメラマン協会)から、取材申請の案内メールが届いた。
そこで申請メールを送ったが、22日に「不許可」の通知が来た。
これまで、ARGRAに申請して不許可になったことはない。
なぜだろうと思っていると、「枠が一つ空いたので、許可する」とのメールが届きホッとした。
 
 
一度弾かれたということは、相当な申請があったのだろうと想像できる。
ところがピッチに入ると、カメラマンの数がかなり少ない。
ボカが攻撃するサイドのカメラマン席ですらガラガラなのだ。
 
 
ハーフタイムにARGRAの人間に話を聞くと、「CONMEBOLが人数を決めた。45枚しかカメラマンビブスを渡してくれないんだ。」という。
さらに、「アルゼンチンとブラジルのカメラマンを優先するので、あなたにまでビブスが回らなかった」と最初の落選について説明してくれた。
 
 
ゴール裏のカメラマン席は、テレビカメラが数台入っても、各サイド50名の計100名は余裕で入れる。
45名というのは、その半分以下だ。
一体何を考えているのか。
 
 
一昨年までは人数制限も含め、ARGRAがすべてを取り仕切っていた。
しかし、昨年からCONMEBOLが権限を主張して介入してきた。
餅は餅屋というように、素人がしゃしゃり出ると碌なことにならない。
  
 
カメラマンビブスといえば、ユース五輪でも面白いことがあった。
普通、ビブスには通し番号がプリントされている。
立ち入り禁止ゾーンで撮影するなどの違反をしたカメラマンは、この番号によって特定される。
 
 
ユース五輪のビブスは、この番号がマジックインキによる手書きだった。
こんなの初めてだ。
カメラマンビブスは青で、テレビクルー用は緑なのだが、緑のビブスにはちゃんと番号がプリントされている。
おそらく、担当者の発注ミスだろう。
それを作り直さずに手書きで対応するとは、なかなか度胸のあることだ。
 

 
 
ユース五輪には、他にもミスというか間抜けな話があった。
それは、大会マスコット・パンディのぬいぐるみに関して。
大会組織委員会から委託された業者が、約20センチメートルのぬいぐるみの製作を外国に発注した。
これは表彰式でメダリストに贈られるものだが、この業者はおよそ4500円で販売することも計画していた。
ところがこれに税関からストップがかかる。
輸入書類や製品が販売用としての基準を満たしていないというのだ。
 
 
国内に生息するジャガーをモチーフにしたパンディは人気者で、各会場では着ぐるみが子供たちに囲まれていた。
ぬいぐるみを欲しがっていた子もたくさんいたはずだが、それはかなわぬこととなった。
しかし販売されなかったことで、メダリストがもらったパンディの価値はさらに高まった。
 


About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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