23日にチリのサンチャゴで行われる予定だったコパ・リベルタドーレス決勝戦のリーベル対フラメンゴは、ペルーのリマへと開催地が変更となった。
今年からCONMEBOL主催のコパ・リベルタドーレスとコパ・スダメリカーナの決勝は、欧州CLやUEFAカップにならって、ホーム&アウェイでなく、事前に決めた開催地での一発勝負となった。
しかしチリは地下鉄の値上げに端を発し拡大した市民による反政府活動が終息の動きを見せない。
SNSでは、決勝戦の23日に大規模デモを会場となるスタジアム周辺で行うことが呼びかけられた。
そこにはチリの名門コロコロやウニベルシダ・デ・チレ、ウニベルシダ・デ・カトリカのウルトラスおよび一般サポーターも参加するという。
ようするに、決勝戦を妨害する気なのだ。
アルゼンチンとブラジルのチームの対戦など、彼らにとってまったく興味はない。
仮に今回の決勝にチリのチームが残っているか、あるいは昨年までのホーム&アウェイであれば、たとえ国内が騒然としていようともサポーターが試合を妨害することはありえない。
チリ政府はすでに、11月に行われる予定だったAPECと12月のCOP25という二つの国際会議の開催も断念しており、国として治安の保証ができかねる状態。
そこでCONMEBOLも会場変更を決断した。
決勝戦の会場は1年以上前に決まっている。
例えば来年は、コパ・リベルタドーレスはブラジルのマラカナンで、コパ・スダメリカーナはアルゼンチン・コルドバのマリオ・ケンペススタジアムだ。
会場決定後、来年のコパ・リベルタドーレスでブラジルのクラブが決勝に進出して自国で試合をする利に恵まれても、それは致し方ない。
しかしリーベル対フラメンゴというカードが決まったうえで、会場をアルゼンチンかブラジルにするのは不公平となる。
そこで、この両国はまず消えた。
どちらの国とも国境を接しているパラグアイとウルグアイのどちらかでの開催が望ましかったものの、パラグアイはビーチサッカーW杯期間中で余裕がない。
ウルグアイは翌日が大統領選挙の投票日でそれどころではない。
ベネズエラはチリ以上に反政府デモが激しく問題外で、エクアドルもつい先ごろ大規模な抗議活動で政府が首都のキトを捨て逃亡するほどのことがあり、火種はまだ燻ぶっている。
さらにボリビアは大統領選挙の結果をめぐり紛争が起き、こちらも危険な状況。
今月に行われるU-15南米選手権の会場はボリビアのサンタクルスだったが、CONMEBOLは政情不安を理由に開催地をパラグアイに変更している。
結局、代替地として残ったのはコロンビアとペルーで、その中から首都リマにあるウニベルシタリオの本拠地モヌメンタルスタジアムに決定した。
ペルーのサッカーは、昨年、36年ぶりにW杯出場を果たし喜びにあふれたが、今年は悪いことばかり。
まず1月には、「W杯復帰」の立役者でもあったサッカー連盟のオビエド会長が、殺人事件と大規模汚職に関与した容疑で逮捕された。
現在ブラジルで開催中のU-17W杯は本来ペルーで行われるはずだったが、スタジアム改修などでFIFAの基準が満たせなくなり辞退するという屈辱を味わった。
さらにコパ・スダメリカーナ決勝会場にリマのナシオナルスタジアムが決定したものの、その後CONMEBOLでひっくり返されてパラグアイのアスンシオンへ渡ってしまった。
一度逃げたコパ・スダメリカーナが、格上のコパ・リベルタドーレスとなって戻ってきた。
暗いニュース続きのペルーサッカー界が、最後は明るい話題に包まれた。
ちなみに同日のリマ市内では、ナシオナルスタジアムで伝統の大ロックフェスティバルが催され、別の会場では中南米のスターや大御所が集まるサルサの祭典、さらに夜間の市民マラソンが開催され、なんとも派手な1日になるようだ。
当初はリマで開催される予定だったコパ・スダメリカーナ決勝は9日にアスンシオンで行われた。
アルゼンチンのコロンとエクアドルのインデペンディエンテ・デ・バジェが強い雨の中で死力を尽くし、インデの2-0から89分にコロンが追いつき、その後は7分間という長いロスタイムもコロンが圧倒。
しかし一瞬の隙を突いたカウンターからインデが決定的なゴールを決めて初優勝を飾った。