先日、方南町を歩いていたら、「痛風セット」という張り紙が目に飛び込んできた。
数年前に激しい膝の通風を患ったので、ホルヘは”痛風”という言葉に敏感だ。
居酒屋の宣伝のようだったので、プリン体ゼロのビールに冷奴、海藻サラダなどといった尿酸値を上げないセットなのかと思った。
しかし近づいて読んでみると、白子ポン酢とあん肝ポン酢にウニ、イクラというセットだった。
想像とは逆に、尿酸値を上げる食材ばかりの、「痛風になりますよ」というセットだった。
とてもこんなものを頼む気にはならないが、一応スマホで撮ってみた。
 

 
 
実はホルヘ、1月13日にスマホデビューを果たした。
スマホなしでも不自由は感じなかったのだが、アルゼンチンのゴルフ仲間がWhatsApp(LINEみたいなもの)で連絡を回すようになり、ホルヘに情報が入ってこないことが起こるようになってしまった。
そこで、仲間外れにされないようスマホを買うことにしたのだ。
 
 
アルゼンチンでは安いものが1万円ちょっとで売られている。
それを買う手もあったのだが、ガラケーから乗り換えるといろいろと特典があるようなので、日本に戻ってから買うことにした。
ケータイの電波(?)の周波数は国によって異なる場合があり、それに対応する機種でないと現地のSIMを入れても使えないらしい。
南米中で使用できるのは何かとdocomoショップで相談したら、「国内で販売されているものは基本的に日本仕様で、欧米やアジアの主要国には対応しているが南米まではわかりません。最も国際的なiPhoneが無難なのでは」という。
こうして対象機種はiPhoneに決まった。
 
 
しかしそのdocomoショップでは買わず、しばらくスマホデビュー割の動向を伺っていた。
プロモーションは割引価格で安く購入できるのだが、それでも数万円は払わねばならない。
しかも、iPhoneは人気のせいか割引が少ない。
そんな中、ヤマダ電機で「iPhoneXR ゼロ円」というプロモを発見。
「アイフォン・エックス・アールがタダなんですか」と店員に訊くと、「テン・アールですね」と正された。
Xはエックスでなく10だったのか。
 
 
しかし不思議なことに、タダなのはXRの128Gだけで、64Gと256Gは3万円くらいする。
店員によると、価格の安い64Gと容量が必要な人が好む256Gに挟まれ、中途半端な128Gは在庫がたくさんある、ようするに売れ残っているのだという。
即決でこれに決めた。
 
 
その後の事務手続きで、故障や盗難の場合に備えた保険に入りますか、と訊かれた。
たしか、月額700円だった。
南米ではスマホはドロボーの絶好のターゲット。
正確な数字は覚えていないが、1日に1000件だか2000件以上の被害届が出ているとアルゼンチンのニュースでいっていた。
知っているだけで、知人5人が盗まれている。
コロンビアでは、盗難未遂現場を至近距離で目撃した。
夕方の帰宅時、大通りのバス停で男性がスマホを見ていた。
すると、車道を走ってきた自転車の男が、手をサッと伸ばしてスマホを奪い取ろうとした。異変を感じたスマホ男が身体をひねったため未遂に終わったものの、ドロボーは常にチャンスをうかがっている。
こんな状況下で使用するのだから盗難の危険は充分にあるのだが、タダで入手したものに月々700円払う意味がよくわからず断った。
 
 
こうしてデビューを果たしたわけだが、扱い方がまったくわからない。
3日間は電話とメールだけしか使えなかった。
そのメールも、何か変な操作をしてしまったらしく送受信不能となった。
LINEのアプリはヤマダで入れてくれたが、これは一体どのように操作するのか。
これほど普及しているのだからもっと簡単かと思ったが、とても一人では歯が立たない。
そこでdocomoで開かれている無料のスマホ教室に行くことにした。
幅広い年齢層が参加しているのかと思ったら、そこに来ているのはお年寄りばかり。
しかも機種は圧倒的に“らくらくスマートフォン”が多い。
そんな中にまだ59歳の若手がiPhoneを持って参加するのは非常に違和感がある。
講師の先生が、「機械音痴なのに分不相応なもの買ってんじゃないよ」と思っているのではないかと、勝手に想像してしまう。
 
 
しかしスマホ教室のおかげで少しずつ進歩し、LINEで飲み会の打ち合わせもできるようになった。
やはり、日本で入手したのは正解。
スマホ教室のないアルゼンチンで購入していたら大変なことになるところだった。


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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