前回書いたように、ブエノスアイレスからの帰国便にトラブルがあった。
 
オーストラリアに立ち寄ることにしたので、ブエノスからチリのサンティアゴへ行き、
 
そこでニュージーランドはオークランド経由のシドニー線に乗り換えた。
 
ところがこの便が、離陸1時間半後にエンジン不良となりサンティアゴへ帰還。
 
予定外のチリ入国となり、早朝6:00に航空会社が手配したホテルへ到着。
 
そして昼過ぎに連絡があり、13:30ホテルを出て空港へ出発した。
 
ここまでが前回のあらすじ。
 
 
 
話題のLCC(格安航空会社)は、機体故障の場合は知らないが、
 
悪天候による欠航ではホテルの手配をしないという。
 
乗客は自費でホテルに泊まるか、空港で時間を潰さなければならない。
 
やはり、利用するなら正規の航空会社だと思った。
 
 
 
エンジントラブルは今回が初めてだが、ホルヘはこれまで、
 
悪天候とダブルブッキングで計3回予定の便に乗れずタダでホテルに泊まったことがある。
 
成田を夜に出る便でアメリカへ行こうとしていたときのこと。
 
午前中に旅行代理店から電話があり、搭乗予定の便が悪天候のためアメリカを発つのが大幅に遅れた関係で、
 
成田発は翌日の午前中になるといわれた。
 
午前の便に乗るとなると、かなり早起きをしなければならない。
 
しかし旅行代理店の人が、素敵なアドバイスをしてくれた。
 
それは、この連絡を聞かなかったことにして空港のチェックインカウンターへ行けば、
 
航空会社の手配したエアポートホテルに泊まれるというもの。
 
本当はいけないことなのだろうが、早起きが苦手なホルヘはこの話に飛びついた。
 
最近はインターネットで手軽にエアーチケットを購入できるが、
 
旅行代理店で人を介して手続きしたほうが、このようなサービス(裏ワザ指導)を受けやすいと思う。
 
 
 
さて、サンティアゴの空港について、これでやっとシドニーへ行けると安堵したものの、
 
まだすんなりとはいかなかった。
 
チェックインカウンターで、「本日の便はオークランド止まりで、シドニーへは行きません」といわれた。
 
また、ニュージーランドへ入国しホテルへ泊まるのだという。
 
試合観戦とかのツアーだったら、確実に試合を見逃してしまうだろう。
 
 
 
オークランドに着くと、ポリネシア風(?)のゲートがある空港内の通路で、
 
カンタス航空の地上職員が乗客名の書かれた紙を配っていた。
 
そこには割り当てられたホテル名が記され、「NEW FLIGHT」の欄は、TO BE CONFIRMEDとなっていた。
 
これは、まもなくコンファームされるという意味で、ようするにまだ決まっていないということだと解釈した。
 
前日も、「昼ごろ部屋に電話して出発時刻を知らせます」ということだったので、同じように連絡があると思った。
 
 
 
ホテルに深夜2:00過ぎにチェックインし、9:00に起きて朝食を食べた。
 
その後ブラブラして11:00に部屋へ戻って電話を待つ。
 
するとすぐにコールがあったが、それはフロントからで、「まだチェックアウトはしないのか」という質問。
 
こちらの状況が分かっていないようなので、空港でもらった紙を持ってフロントへ出向く。
 
するとフロントの女性が、紙をめくって2枚目を見た。2枚目なんてあったのか?知らなかった。
 
そして彼女の口から、「お客さん、乗り遅れてます」という信じられない言葉が出た。
 
 
 
2枚目を見ると、そこにはたしかに6:50発と記されている。
 
しかし、ホテルに着いたのが2:00過ぎで、6:50の便に乗るには4:00過ぎに出なければならず、
 
そうするとホテルにいられるのは2時間ということだ。
 
こんな滅茶苦茶なスケジュールがあるか。
 
これなら、空港で待っていた方がましだ。LCCにすればよかった。
 
 
 
乗り遅れたということは、チケットがパーになったのだろうか。
 
しかし、カンタスのスケジュールもひどすぎる。
 
とにかく空港へ行き、そこでしっかり交渉することにした。
 
ホルヘは英語がさっぱりダメなので、電子辞書で「日本語が話せる人はいませんか」という言葉を調べた。
 
 
 
どこに話を持っていくべきか分からず、とりあえず一番近くにあった発券カウンターへ行き、
 
「日本語かスペイン語の話せる人はいませんか」と訊いた。
 
しかし、答えはノー。「となりのニュージーランド航空にはいる」というが、
 
カンタスの問題なので、ニュージーランド航空は役に立たない。
 
 
 
こうなったら仕方ない。全旅程が入ったオリジナルのチケットを示しながら、
 
中学生以下の英語で、乗り遅れたという自分の非を隠しながら、エンジントラブルで予定が狂ったこと、
 
今日中にシドニーへ行きたいことを告げた。
 
するといとも簡単に、「じゃあ、次の便で行け」とチケットを発券してくれた。
 
 
 
そしてすぐ向かいにあるチェックインカウンターへ行くと、そこには日本人女性がいた。
 
しかも、チェックイン客は誰もおらずド暇。
 
こんな状況なら、「日本語が話せる人はいませんか」と言ったとき、この人を呼んでくれればよかったのに。
 
 
 
シドニーへ着いてネットのニュースを読んだら、
 
「経営不振でカンタス航空が1000人のリストラ」という記事があり、さもあらん、とホルヘは思った。
 
 
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About The Author

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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