2月15日に、C級サッカーコーチのリフレッシュ研修会へ行ってきた。
日本協会の指導者カテゴリーは、Jリーグの監督ライセンスであるS級以下、A級(指導対象年代ごと3種類)、B級、C級、D級、キッズリーダーに分かれている。
C級以上はリフレッシュポイント制度というものがあり、リフレッシュ研修会を受講してポイントを獲得しないと資格を失効してしまう。
 
 
ホルヘが前々回受講したときの講師は、現なでしこジャパン監督の高倉さんだった。
午前中の紅白ゲーム後、「いい動きしますね」と褒められた。
まもなく還暦を迎えるホルヘの年代は、幼少期にサッカーと無縁だった人が多い。
遊びや部活といえば野球が主流。
中高のサッカー部は、不良のたまり場というイメージすらあった。
ホルヘが入学した中学にはサッカー部もなく、2年の時に仲間と遊びのサークルを作った。
したがってちゃんとした指導は受けておらず、基礎が全くできていない。
 
 
とはいえ、長年、仕事でトップクラスのサッカーに接しているので”動き“の質は高い。
相手チームの穴を見つけ、そこに入り込むことが得意だ。
しかし技術がないので、パスを出されるとミスをしてしまう。
このゲームでは幸いなことにほとんどパスが来なかったので、高倉さんに実態を見抜かれずに済んだ。
というのも、フィールドでプレーしたのはわずかな時間で、大部分はGKをしていた。
参加者が若くプレーもガチなので、体力的についていけなかったのだ。
そして4年前の前回もホルヘが断トツの最高齢だった。
研修会では午前中の実技で講師が参加者を指導し、午後は参加者全員が交代でコーチ役となり、他の参加者に指導実践を行う。
そこには必ずゲームが含まれており、年寄りにはかなりハードな1日となる。
 
 
ホルヘはポイント取得期限ギリギリで、このままだと4月から資格が失効となる。
今でも一応、自分が40年以上前に立ち上げた少年サッカークラブの指導者に名を連ねているものの、実際の指導は過去の教え子たちやその他のコーチに任せている。
それで成立しているのだから、今さら出しゃばるべきではないと考えている。
それならば、資格を維持する必要もない。
もう、潮時だ。
研修会は受けない、と決めていた。
もう、若者に交じってきつい思いをするのも嫌だ。
 
 
そんな中、2月1日に昔の教え子やサッカー仲間と呑んだ。
そこで、今は小学生の試合でも、指導者ライセンスを持っていないコーチは試合のベンチに入れない、ということを聞いた。
最近は監督やコーチのパワハラが問題となり、日本協会はそれの撲滅に取り組んでいることから、このようなお触れを出したのだろう。
我がチームのコーチは、全員が資格を持っているわけではない。
聞くところによると、資格取得のための講習会は希望者が多すぎてなかなか受講できないらしい。
クラブのコーチはボランティアで、それぞれが家庭や仕事の用事も抱えている。
試合の日に、有資格のコーチが参加できないということもありえる。
となれば、その場合にヘルプとして呼ばれることがあるかもしれない。
さらに、今は2日か3日で取得できるC級だが、ホルヘが取得した35年前は全く違った。
2か月半ほどかけ、毎週ではないが、当時日本代表の合宿所だった東大の検見川グランドに土日で泊まり込み、さらに水曜日の夜は岸記念体育会館でも講義があった。
資格の名称も「サッカー協会公認リーダー」というもので、それが日本体育協会や文部省(当時)の管轄に移行したり「公認スポーツ指導員」などと名を変えながら、最終的に現在のC級コーチに統合された。
昔話をしながら呑んでいるうちにそれらのことを思い出し、「あれだけ苦労して取ったのだから、もう少しがんばってみよう」という気持ちになった。
 
 
呑み会から帰るとすぐ協会のサイトを開き、15日に駒沢公園グランドで開催される講習会に応募。
翌日からはジョギングを開始。
1年前にフットサルをやって以来、サッカーから完全に離れている。
体調を整えなければケガをしてしまう。
無理をせず、非常にスローなペースで約2キロ走り、最後は200メートルほどを軽くダッシュ。
しかし2日目、このダッシュで左足を痛めてしまう。
足の甲の中、指の骨の根元が痛む。
疲労骨折のような感じだ。
たかだかこれくらいのトレーニングで疲労骨折とは情けない。
しかしジョギングには影響ないので、徐々に距離を増やしながら毎日続けた。
そして迎えた当日。
案ずるより産むがやすしで、今回は受講者の年齢が高く、50代と思しき人も多かった。
そのため体力的に苦しむこともなく、余裕をもって終えることができた。
しかも、足の甲の痛みが消えている。
それなりのプレーをしたことが、ショック療法となったのかもしれない。
 
 
グランドの隣に駒沢公園のドッグランがあり、受講後しばらく眺めていた。
ホルヘの家は閑静な住宅街にあり、近くの広い公園には犬仲間たちが集まっている。
そこに来るのは、ほとんどが可愛らしい小型犬。
しかし駒沢の住民はレベルが違う。
見たこともないような大型犬がたくさんいるのだ。
自動車に詳しくない人でも、フェラーリやポルシェを見たら、「高そうなクルマ」と思うように、犬のことは知らないホルヘでも、高価な血統書付きだとうことはわかる。
アカデミー賞で格差を描いた韓国映画のパラサイトが栄冠を獲得したが、なるほど、格差は存在すると実感した。
 


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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