ミーム ホルヘ三村 2020年2月16日 ブラジル, ホルヘ・ミム〜ラ 本田が移籍したボタフォゴ。 リオデジャネイロの名門クラブで、サポーターの応援コールは、「ボタフォゴ・ウッ!ウッ・ウッ・ウッ!」だ。 リオといえばフルミネンセ対フラメンゴの“フルフラ対決”が有名だが、この両者にボタフォゴとバスコ・ダ・ガマが加わった4クラブの対戦が、カリオカ(リオっ子)を熱狂させるクラシコとなっている。 そしてボタフォゴ対フルミネンセのカードは「ボボー(おじいさん)・クラシコ」と呼ばれ、ブラジル最古のクラシコとされている。 しかし最近のボタフォゴは低迷気味で、本田の獲得は古豪復活への期待が込められている。 そんな中、先週の日曜日にボタフォゴ対フルミネンセのクラシコが行われ、フルミネンセが3-0で圧勝した。 その後SNSに、フルミネンセのユニホームの上に寿司の皿が載っている写真が投稿された。 そこには、「トリコローレス(フルミネンセファン)のみなさん、こんばんは。夕食は食べましたか。ここにおすすめの一皿があります」とのメッセージが添えてある。 「日本人の本田を獲得したボタフォゴを一蹴したので、寿司のディナーはいかかですか」といった趣旨だ。 もちろん、ボタフォゴを揶揄している。 Boa noite, Tricolores! Já jantaram? Aqui vai nossa dica para assistir à premiação do #Oscars2020! pic.twitter.com/7q49R61Zlc — Fluminense F.C. (@FluminenseFC) February 10, 2020 南米では、サポーター集団がライバルチームをからかう作品を公表することが普通になっている。 直接対決で勝った場合だけでなく、ライバルチームが負けたり誰かが凡ミスをすると、すぐさまそれに反応する。 日本だと相手チームへの侮辱と捉えられ、クラブがその集団に処分を科すようなことになるかもしれないが、文化として根付いているため問題にはならない。 なにしろ上記のものは、サポーター集団でなくフルミネンセがオフィシャルで発信している。 たまには度を越したものもあるが、基本的には中傷ギリギリのものだ。 人気映画やアニメのワンシーンをもじったものに気の利いたコピーを合わせたものが多く、「作品」という言葉が当てはまる。 揶揄されたチームのサポーターまでもが、「一本取られた」と苦笑いしてしまうようなものも多い。 本来これらは、ポスターとして掲示されていた。 街中には大型ポスターの掲示ボードが多数あり、これらに貼られていた。 クラシコの翌朝には、勝ったチームの作品がそこにある。 試合の結果が分かってからデザインやコピーを考えるのだから大忙しだ。 印刷屋や掲示ボードも押さえておかねばならず、費用だって大変なものになる。 サッカーが単に応援するだけのものでなく、人々の生活に溶け込んでいるから成せることなのだろう。 しかしそれもSNSの普及で様相が変わり、今やポスターを見かけることは少なくなった。 パソコンで制作してSNSで発信すれば金もかからないので、以前のようにサポーター集団だけでなく個人でも作品を発表できるようになった。 いわゆる、MEME(ミーム)である。 それぞれが頭をひねり傑作を投稿し、マスコミも優秀作品や問題作を取り上げている。 近い将来、サッカーミームの年間大賞などというものが誕生しそうな勢いだ。 期待通りの活躍を本田ができなかった場合、ライバルチームはそのことをからかうサッカーミームを発信し、それが日本のマスコミで紹介されることがあるかもしれない。 しかしそれはあちらのサッカー文化なので、あまり目くじらを立てないようにしていただきたい。 Tweet