本田が移籍したボタフォゴ。
リオデジャネイロの名門クラブで、サポーターの応援コールは、「ボタフォゴ・ウッ!ウッ・ウッ・ウッ!」だ。
リオといえばフルミネンセ対フラメンゴの“フルフラ対決”が有名だが、この両者にボタフォゴとバスコ・ダ・ガマが加わった4クラブの対戦が、カリオカ(リオっ子)を熱狂させるクラシコとなっている。
そしてボタフォゴ対フルミネンセのカードは「ボボー(おじいさん)・クラシコ」と呼ばれ、ブラジル最古のクラシコとされている。
しかし最近のボタフォゴは低迷気味で、本田の獲得は古豪復活への期待が込められている。
 
 
そんな中、先週の日曜日にボタフォゴ対フルミネンセのクラシコが行われ、フルミネンセが3-0で圧勝した。
その後SNSに、フルミネンセのユニホームの上に寿司の皿が載っている写真が投稿された。
そこには、「トリコローレス(フルミネンセファン)のみなさん、こんばんは。夕食は食べましたか。ここにおすすめの一皿があります」とのメッセージが添えてある。
「日本人の本田を獲得したボタフォゴを一蹴したので、寿司のディナーはいかかですか」といった趣旨だ。
もちろん、ボタフォゴを揶揄している。


 
 
南米では、サポーター集団がライバルチームをからかう作品を公表することが普通になっている。
直接対決で勝った場合だけでなく、ライバルチームが負けたり誰かが凡ミスをすると、すぐさまそれに反応する。
日本だと相手チームへの侮辱と捉えられ、クラブがその集団に処分を科すようなことになるかもしれないが、文化として根付いているため問題にはならない。
なにしろ上記のものは、サポーター集団でなくフルミネンセがオフィシャルで発信している。
たまには度を越したものもあるが、基本的には中傷ギリギリのものだ。
人気映画やアニメのワンシーンをもじったものに気の利いたコピーを合わせたものが多く、「作品」という言葉が当てはまる。
揶揄されたチームのサポーターまでもが、「一本取られた」と苦笑いしてしまうようなものも多い。
 
 
本来これらは、ポスターとして掲示されていた。
街中には大型ポスターの掲示ボードが多数あり、これらに貼られていた。
クラシコの翌朝には、勝ったチームの作品がそこにある。
試合の結果が分かってからデザインやコピーを考えるのだから大忙しだ。
印刷屋や掲示ボードも押さえておかねばならず、費用だって大変なものになる。
サッカーが単に応援するだけのものでなく、人々の生活に溶け込んでいるから成せることなのだろう。
 
 
しかしそれもSNSの普及で様相が変わり、今やポスターを見かけることは少なくなった。
パソコンで制作してSNSで発信すれば金もかからないので、以前のようにサポーター集団だけでなく個人でも作品を発表できるようになった。
いわゆる、MEME(ミーム)である。
それぞれが頭をひねり傑作を投稿し、マスコミも優秀作品や問題作を取り上げている。
近い将来、サッカーミームの年間大賞などというものが誕生しそうな勢いだ。
 
 
期待通りの活躍を本田ができなかった場合、ライバルチームはそのことをからかうサッカーミームを発信し、それが日本のマスコミで紹介されることがあるかもしれない。
しかしそれはあちらのサッカー文化なので、あまり目くじらを立てないようにしていただきたい。


About The Author

ホルヘ三村

ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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