6月3日から26日まで、アメリカでコパ・アメリカ・センテナリオが開催される。センテナリオとは100周年のこと。第1回W杯の会場となったウルグアイのセンテナリオスタジアムは、同国の独立100周年を記念して建設されたので、このように名付けられた。コパ・アメリカは、代表チームによる国際大会としては、世界で最も歴史があるものとされている。

大会はコンメボル(南米連盟)主催で、所属する10カ国によって争われていた。しかし1993年のエクアドル大会から、地域外の2か国を招待するようになった。招待国は主にメキシコ、アメリカ、コスタリカなどだが、日本も99年パラグアイ大会に参加。2011年アルゼンチン大会にも招待されたが、東日本大震災の影響で辞退している。

100周年の今回は、南米10カ国にコンカカフ(北中米カリブ連盟)の6カ国が加わる。その顔触れは、開催国のアメリカ、コパ・デ・オロ(コンカカフ・カップ)王者のメキシコ、中米王者のコスタリカ、カリブ王者のジャマイカ、そしてプレーオフを勝ち抜いたハイチとパナマ。従来のコパ・アメリカの枠を超えた、北中米大会となっている。

100周年はおめでたいが、なぜアメリカでやる必要があるのだろう。ホルヘはこの点が釈然としなかった。あまり乗り気ではなかったものの、とりあえず取材申請はした。そうしたら、落ちた。89年のブラジルを皮切りに、エクアドル、ウルグアイ、ボリビア、パラグアイ、コロンビア、ペルー、ベネズエラ、アルゼンチン、チリでのコパ・アメリカを取材してきたのに、申請が通らなかった。何を基準に審査したのだろう。だから、アメリカは嫌いだ。

アルゼンチン代表は、5月27日にホンジュラスとテストマッチを行い、その後アメリカ入り。試合は終始圧倒するもスコアは1-0で、メッシが背中を痛めて退場するというアクシデントもあった。さらにサンフランシスコで調整していた代表に、出場停止の可能性が持ち上がった。

事の発端はアルゼンチン協会のゴタゴタ。グロンドーナ前会長が40年近くも支配していた協会は魑魅魍魎の世界。彼の死後は副会長のセグーラが昇格したが、改革を目指す一派も出現。昨年末にはセグーラと改革派で人気タレントのティネリが選挙で一騎打ち。理事75名の投票が行われたが、結果は38票対38票の同数。なぜか1票多かったのだ。不正の臭いがプンプンする。

その後セグーラは出馬辞退を表明し、再選挙は6月30日に行われると伝えられた。労働組合の大立者でインデペンディエンテ会長のモジャーノら、新たに4名が候補に名乗り出た。そして協会は不正会計が露呈して権威が失墜し、ビッグクラブはスーパーリーグ結成に動いている。

これまで国内リーグは協会の直轄で、放映権料は協会に入っていた。そこから各クラブに分配されていたのだが、協会ばかりが利益を得ているという不満があった。そこで日本のJリーグのように、リーグを運営する組織を立ち上げようとビッグクラブが主導している。

そんなこんなで協会は滅茶苦茶な状態。ついには政府機関が、会長選挙を延期するよう通達してきた。たしかに、このまま選挙となれば、分裂という最悪のシナリオもありえる。しかしFIFAの規定では、政府が協会に干渉することを禁じている。これに違反すると資格停止となり、国際大会に出場できない。コパ・アメリカの代表と、コパ・リベルタドーレスの準決勝に進んだボカが、その制裁を受けるかもしれないというのだ。

はたして、決着はどのように着くのだろうか。

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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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