前回紹介したコスタリカリーグから、面白いニュースが入ってきた。
コロナ中断から中南米でいち早く再開した同国リーグ。
先週はアラフエレンセ対サプリサのクラシコが行われた。
ここで注目を集めたのは、アラフエレンセのFWジョナタン・マクドナルド。
今期好調の彼は、18節終了時で17得点とゴールを量産。
コスタリカ最大のスターだったローランド・フォンセカの持つ19得点というリーグ記録に迫っている。
 
 
この試合には僅か18分間の出場で得点もなかったマクドナルドだが、彼の背中が映されると、テレビ観戦者は「なんだ、これは!」と騒然となった。
ユニホームの背中、背番号の上には選手の苗字が記されている。
彼の場合は「MCDONALD」で、これまでずっとそうだった。
ところがこの試合では、「BURGER KING」となっているではないか。
実はバーガーキングはチームのスポンサーになっており、そのユニホームにライバルのマックを想像させる自分の苗字を入れるのはいかがなものかと思い臨時改名したのだ。
この茶目っ気に、バーガーキングはもちろんサッカーファンは大喝采。
コロナ禍で暗い世の中に笑顔を送った。
しかしこれが日本なら、「登録名以外を使用してはいけない」とか「指定箇所以外に広告を入れてはいけない」とストップがかかったことだろう。
 
 
一方ボリビアからは暗いニュースが。
2部リーグのウニベルシタリオ・デ・ベニに所属するデイベルト・ロマン・グスマンという25歳の選手が、新型コロナで死亡した。
これが、世界初のコロナによるプロサッカー選手の死亡事例とされている。
ユース時代には代表にも選ばれ、ベニでは中心選手として活躍していた。
ブラジルではリーグの早期再開を望むボルソナロ大統領が、「サッカー選手は感染しても重篤なる危険はない」と断言していたが、その言葉に信ぴょう性がないことが証明された。
早期再開に反対しているボタフォゴやコリンチャンスは、この出来事でさらに態度を強めるだろう。
 
 
ボリビアといえば、1部リーグのレアル・ポトシがあるランキングで世界1位となった。
ポトシは銀や錫の鉱山として栄えた街で、標高は約4000メートル。
都市としては、世界で最も高いそうだ。
R・ポトシは1988年に創立された比較的新しいクラブだが、2000年代初頭から1部リーグの強豪となり、コパ・リベルタドーレスとコパ・スダメリカーナに計10回出場している。
CIESというサッカーリサーチ組織が、2015年から19年までの5年間の監督交代について、世界84か国の1部リーグを調査した。
その結果、5年間の平均監督人数は3.8人。
 
 
ちなみに南米各国は、アルゼンチン以外は平均以上で、チリ4.2人、エクアドル4.9人、ブラジルとベネズエラ5.3人、ウルグアイ5.4人、ペルー5.9人、コロンビア6人、パラグアイ6.6人で、ボリビアは断トツの9.1人という数字で世界でも首位となっている。
そしてこの数字を牽引しているのがR・ポトシで、なんと5年間に20人もの監督と契約している。
これが堂々の世界ランク1位。
そして2位は、ペルーのクスコをホームとするクスコFCの16人。
こちらも標高約3400メートルの高地なので、標高と監督交代には何か関係があるのかと思ってしまう。
たしかに、ブラジルやアルゼンチンといった高地と無縁の国から監督を迎えた場合、高山病などで体調を崩して辞任することもあるだろう。
クスコFCもR・ポトシ同様、リーグでは上位の常連。
成績がいいのに監督が代わるのは不思議に思える。
 
 
しかし、好成績には地の利が大きく関係している。
酸素の薄い高地では、アウェイのチームは満足に走れない。
これによって好成績となり、国際試合の出場権を得る。
当然、相手は強豪だ。
すると今度はアウェイで、0-5、0-6といった大敗を喫することになる。
そして、そのたびに監督が解任される。
また両クラブとも会長がワンマンで、監督と衝突することが多いという。
こうした要因が重なり、5年で16人、20人という出入りの激しさを生み出しているようだ。
 
 
写真出典:ole.com.ar