チリの優勝で幕を閉じた今回のコパ・アメリカは波乱の連続だった。
グループリーグでブラジルとウルグアイが消えるし、メキシコはチリに0-7という歴史的大敗を喫し、準決勝のコロンビア対チリでは竜巻警報が発令され観客に避難指示が出るは、激しい雷雨(スタジアムの避雷針に4発落ちた)で2時間以上の中断。
そして、最後の最後にメッシの引退宣言。
さすが100周年記念大会だけに、記憶に残る出来事が目白押しだった。
 
 
決勝戦を観て、「サッカーとは生き物みたいだな」と改めて思った。
それほど展開が大きく変わったのだ。
立ち上がりからアルゼンチンが圧倒し、チリはなす術無しという感じ。とにかくアルゼンチンの圧力が凄い。
そして27分にはチリが退場者をだしてしまう。
この段階でアルゼンチンが1~2点決められたはずだが、イグアインがGKを交わしたのに枠を外すなど無得点。
その後、アルゼンチンも退場者を出して前半終了。
 
 
10人になったことでアルゼンチンの圧力は下がり、チリもポゼッション意識を高めたことで後半から流れは一変。
序盤はけん制し合っていたもののやがて総力戦となり、スコアレスながら見ごたえのある好ゲームになっていった。
 
 
アルゼンチンは昨年に引き続きコパ・アメリカ準優勝。一昨年はW杯準優勝。
3年連続で決勝に進出し、いずれも頂点を極められなかった。
実は、アルゼンチンの決勝での敗退はこの3試合どころではなく、なんと7連続。
優勝は1993年のコパ・アメリカが最後で、95年と2005年のコンフェデ杯、04年と07年のコパ・アメリカでも決勝で涙を飲んできた。
 
 
普通なら、準優勝=銀メダルは称賛の対象となる。
しかしこれほど続くと、もはや不満のタネだ。
「なぜ優勝できない。銀はもういい。金を獲れ」ということになってしまう。
しかも、敗れた相手がドイツやブラジルならともかく、コパ・アメリカでの通算成績が20勝7分け0敗(PK戦での決着は引き分け扱い)のチリに二度も優勝を掻っ攫われては、準優勝でも称賛どころか非難の対象になる。
 
 
もしメッシが引退宣言しなかったら、国民の怒りの矛先は彼に向き、もの凄いバッシングを受けることになっただろう。
しかし今は国中が「メッシ辞めるな」一色で、優勝を逃した責任云々は吹っ飛んでしまった。
「この先、渋滞6キロ」などと表示される高速道路の掲示板まで「メッシ辞めるな」である。
 
 
ホルヘは、これはメッシの作戦ではないかと疑っているほどだ。
作戦でなく“引退”が本心だったとしても、あのときの精神状態がいわせたものだと思う。
まだバリバリで下り坂に入っていないのだから、冷静になれば2年後のロシアへの意欲が湧き上がってくるはず。
大統領まで説得に乗り出したのだから、やがて”宣言”は撤回されると思う。
 
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