1月や2月は各都道府県の高校新人戦が行われ、インターハイや選手権に向けて何となく新シーズンの勢力分布図がおぼろげながら見えてくる時期ですが、同様にクラブユース界でも『U-17選手権』という大会名の新人戦が開催されています。
FC東京、東京ヴェルディ、FC町田ゼルビアと3つのJクラブユースが所属している東京のクラブユースも、『東京都クラブユースU-17選手権』を今月上旬まで戦っていた訳ですが、今回はその3位決定戦で巻き起こった“応援合戦”についてご紹介します。
対戦したのはFCトリプレッタユースと三菱養和SCユース。
前者は渋谷に本拠地を置くクラブで、今シーズンから川崎フロンターレに加入したタビナス・ジェファーソンもここのジュニアユース出身。
とにかく元気な子が多く、みんながサッカーやサッカーに関わることを全力で楽しんでいる印象があります。
後者は巣鴨に本拠地を置く都内屈指の老舗クラブ。
永井雄一郎や加藤大などJリーガーも多数輩出している中で、普段からプレミアリーグやプリンスリーグで戦ってきているだけあって、確かな実力を有しているのは言うまでもありませんが、こちらもチームを取り巻く元気や一体感やがウリのチーム。
そんな2チームの対戦ですから、ひそかに“ピッチ外”の戦いにも注目していました。
メインスタンドから向かって右側のゴール裏に陣取ったのはトリプレッタ応援団。
ベンチに入れなかった選手や、おそらくはジュニアユースの選手も交えて、なかなかな人数でピッチヘ声援を送ります。
かたや、向かって左側のゴール裏にはわずか3人の養和応援団。
普段はそれこそジュニアのかわいい小学生がかわいい声で応援したりしているんですけど、増子亘彦監督に聞けばこの日は巣鴨でクラブのイベントがあり、指導者も含めてそちらに参加しているとのこと。
究極の少数精鋭で決戦に挑みます。
トリプレッタの応援は勢いとギャグセン重視。
少し髪の長い選手が途中出場で出てくれば、すかさず大黒摩季の名曲に乗せて「♪ら・ら~ ら・ら・ら~ ら・ら・ら~ やっぱり~ ネモトユウキの前髪長いよ~」と歌ってみたり(笑)、昨年はチームのエースを「♪ト・ト・トリプのリョウタロウ~」と往年の名番組のテーマソングで鼓舞してみたり(笑)、まあ自由度高し。
思わず笑ってしまうような名曲を数々生み出してきた、チャント界のヒットメーカー軍団なんです。
で、まあこの日もトリプレッタ応援団がまず仕掛けました。
「♪養和よりトリプ 養和よりトリプ」。
養和の3人もなかなかな音量で応酬します。
「♪トリプより養和 ロリプより養和」。
最近この被せ合いは高校年代のゲームでもよくあるんですよ。
お互い延々と「♪○○より○○」を続け合うという。
ただ、さすがに首都のチャントセンスを二分する両クラブの応援部隊。
ここからさらなる広がりが生まれていきます。
突如としてトリプレッタの応援団から「♪蕎麦よりたこ焼き~」のチャントが。
これはセレッソ大阪と松本山雅FCのゲームで、両サポーターが被せ合ったYoutubeでも見られるやり合い。
これをここでぶっこんで来るのはよくわからないですけど(笑)、とりあえず何かをやりたい意欲は十分に感じられます。
すると、3人だった養和応援団の反撃が。
「♪渋谷より巣鴨 渋谷より巣鴨」。
クリティカルヒット!
試合に出ていた選手も「思わず笑っちゃいましたよ」と証言しており、僕の前に1人でいた年配の男性も笑いを必死にかみ殺します(笑)
当然トリプレッタ応援団も「♪巣鴨より渋谷 巣鴨より渋谷」と応酬。
西が丘を包む楽しい雰囲気。
上がるハードル。
次なるチャントは果たして??
養和応援団渾身の一撃。
「♪スクランブルより地蔵 スクランブルより地蔵」。
これはマジで笑った(笑)
試合後に養和の選手に聞くと、この日のゴール裏にいた3人は出場停止やケガ人で普段はゲームに出ているような選手とのことですが、ギャクセンもチーム屈指のトリオだということ。
これにはトリプレッタ応援団も小さくないダメージ(すなわち笑っちゃうこと)を負った様子が窺えました。
この後で養和応援団が繰り出した次なる一手は若干スベったので、3人の名誉を考えて内容は割愛しますが(笑)、この両クラブの応援合戦が3位決定戦をより魅力的なものにしたのは間違いありません。
こういうのがサッカーの面白いところですよね。
トリプレッタ応援団と3人で奮闘した養和の応援団に、今更ではありますが大きな拍手を送りたいと思います。