少し前ですが、高校選手権でとうとう前橋育英高校が優勝を達成しました!
過去にはベスト4が4回、準優勝が2回と、どうしても届かなかった冬の日本一。
とりわけ昨年度は決勝で青森山田に0-5という屈辱的な敗戦を喫していただけに、そこからのリベンジは圧巻の一言。
試合後のインタビューで山田耕介監督が涙を浮かべていたシーンには、思わずこちらももらい泣きしてしまいました。
 
 
今でこそ全国屈指の強豪というイメージが定着した育英(※群馬県の人は前育ではなく育英と呼ぶので、ここでも育英で統一します・笑)ですが、僕が高校生の頃を振り返ると、県内でこそ前橋商業と覇権を二分していたものの、服部浩紀を擁して2度の国立を経験していた前商に比べると、そこまで全国的な知名度は高くなかった気がします。
 
 
実際にそんな彼らが全国クラスの実力を有し始めたのも、僕が高校生だった頃のようにも思います。
1996年度。
選手権予選準々決勝で我が高崎高校を破った育英は、大島秀夫(昨シーズンのJリーグ功労賞を受賞)や板橋裕也(U-17日本代表経験者)、岡田直彦(元コンサドーレ札幌、現・徳島ヴォルティス強化部長の弟!)などタレントを揃え、全国でもベスト8まで躍進。
準々決勝では優勝した市立船橋に競り負けたものの、大きなインパクトを残しました。
 
 
初めて国立の舞台に辿り着いたのは、僕の1つ下の代が高校3年だった1998年度の高校選手権。
2年連続ファイナルを目指した帝京と激闘を繰り広げ、最後は後半終了間際に決勝ゴールを奪われ、決勝進出への道は閉ざされたものの、その国立を経験した松下裕樹(ザスパのレジェンド!)や岩丸史也(J数クラブで活躍)が最上級生になった翌年度も、きっちり予選を勝ち抜いて全国の舞台に舞い戻ると、再びベスト4へと進出。
今度は市立船橋にPK戦で惜敗し、またしても国立での勝利には届きませんでしたが、一気に“上州のタイガー軍団”は全国区の地位を確立したのです。
 
 
ただ、そこから決勝までの道のりは険しく長いものに。
その後も2度勝ち上がった選手権の準決勝はどちらも敗退。
インターハイでは2009年に日本一へ輝きますが、なかなか選手権での優勝が遠く、初めて“ベスト4の壁”を打ち破った2014年度も、星稜と激突したファイナルは延長で2点を奪われて準優勝。
そして前述の昨年度はやはりファイナルで0-5の大敗。
「持ってないってよく言われます」と苦笑しながら語ったのは山田監督。
育英にとって選手権での日本一は悲願だったんです。
 
 
それだけに今回の優勝は本当に価値のあるもの。
個人的にも今年の育英は継続的に取材させてもらっていましたし、「こういうチームが日本一になるんだな」ということを、キャプテンやチームから感じさせてもらっていたので、あの劇的な日本一が決まった瞬間には感極まるものがありました。
山田監督をはじめ選手の皆さん、さらに今まで育英に関わってきたすべての皆さん、本当におめでとうございます!
 

写真は埼玉スタジアム2002の育英応援席です。