海外の多くの国では、ファッションとしてのタトゥーが盛んだ。
 
日本のように、肌を露出する公共施設で「刺青の方、入場お断り」がないので、普通の若者がピアス感覚で手軽に入れている。
 
図柄はワンポイントのイラストや幾何学模様が一般的だが、日本や中国の漢字も多い。
 
 
 
アルゼンチンの政治家で、将来は大統領候補にもなろうかというデ・ナルバエスも、首の左前面に漢字を彫っている。
 
アメリカ留学時代に入れたらしい。
 
Yシャツの襟に半分隠れているのでよく分からないが、虫偏の漢字だ。
 
蛇とか虻のような気がする。
 
書体や雰囲気からして、日本漢字というより中国漢字っぽい。
 
中国語で蛇や虻はチャイニーズマフィアを連想させる。
 
彼は、その一員なのだろうか。
 
 
 
漢字のタトゥーは、「愛」「友」「平和」などが多い。
 
たまに裏表を逆に彫られた失敗作も見かけるが、これらを入れる人は文字の意味も分かっているようだ。
 
しかし、中にはとんでもない漢字を入れている人もいる。
 
「糞」「便」「汚」なんていうのを見たことがある。
 
「ガッデム」とか「クソったれ」というニュアンスのつもりならいいが、意味を知らないで彫っていたら悲劇だ。
 
 
 
最近しばらく続いているメンドーサシリーズだが、W杯南米予選のアルゼンチン対ウルグアイのキックオフ前、
 
近くにいたカメラマンが自分のタトゥーを見せびらかしていた。
 
ワンポイントや漢字でなく、二の腕にビッシリと彫られている。
 
しかもカラフルだ。
 
「珍しいな」と目を止め、「なんか、日本の刺青っぽいな」と思いよく見ると、まさに日本的な刺青なのだ。
 
 
 
「日本の刺青入れてるのか」とホルヘが訊くと、「やっぱり日本のタトゥーか。間違いないか」と変な感じで訊き返してきた。
 
どうも、本人がよく分かっていないようだ。
 
彼の説明によると、行きつけのタトゥーショップの彫り師が日本の刺青に興味を持ち、そこで薦められたという。
 
「ヤクザという日本のマフィアのタトゥーで、芸術的でもあり、これを彫ると力がみなぎる」などと説明されたそうだ。
 
 
 
そんなセールストークで入れたはいいが、本人も多少不安らしく、「日本人から見てどうだ。ちゃんとしてるか。おかしくないか」と訊いてくる。
 
技術の未熟さと染料がきつすぎるせいで、素人目にも多少漫画チックだが、「問題ない。かっこいいよ」と答えておいた。
 
 
 
南米で日本の刺青を見たのはこのときが初めてだが、ブエノスアイレスに戻って注意深く観察していたら、新たに4人見つけた。
 
どうやら、流行り始めているようだ。もっともここが発信点ではないだろうから、アメリカあたりではすでにブームになっているのかもしれない。
 
 

 

 
 
 
ホルヘ・ミム~ラ
ラテンのフットボールを愛し、現在はDieguitoアルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。
取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企てては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。
ヘディングはダメ、左足では蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。
女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。


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ラテンのフットボールを愛し、現在はgol.アルゼンチン支局長として首都ブエノスアイレスに拠点を置き、コパリベルタドーレス、コパアメリカ、ワールドカップ予選や各国のローカルリーグを取材し世界のメディアに情報を発信する国際派フォトジャーナリスト。 取材先の南米各国では、現地のセニョリータとの密接な交流を企でては失敗を重ねているが、酒を中心としたナイトライフには造詣が深い。 ヘディングはダメ。左足で蹴れないという二重苦プレーヤーながら、美味い酒を呑むためにボールを追い回している。 女性とアルコールとフットボールの日々を送る、尊敬すべき人生の達観者。

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